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『はぁ、とりあえず労働環境はマシになったけどもっと刺激が欲しいな〜やっぱり気になっていることは果敢にチャレンジするべきかな_(:3 」∠)_』


 夏の強烈な暑さが和らぎつつある9月下旬、志保は定期的に訪れる日常の物足りなさをツイッターに吐露していた。いつの間にかフォローしている数よりも、フォロワーの方が多くなっていた。嬉しいことであるが積極的にツイッター上で繋がりある人達と会ってきた志保はそろそろ限界を感じていた、もうこれ以上増やせないと。ライブが終わったら今日のライブのイラスト付きレポ楽しみのしていますねとも言われるようになった。好きで始めたことではあるがいつの間にかこれが自分の使命にも似たことになっていることにも疲れを覚え始めた。特別仲の良い人とは個別にLINEでも連絡をし合えるようにしたので、ひっそり蒸発する手も頭を過ぎったが、それをやるにしてもまだやり残していることがあった。

いつ死んでも後悔しないように生きる、それが自分の信条であるはずだともう一度、確認した志保はリョウにツイッターの機能としてあるDMを送った。


『リョウさん、こんにちは。いつも私のツイートにいいねしてくれてありがとうございます。リョウさんは10月のライブには行かれますよね?そこで日頃のお礼の意味も込めて、いつも私が作っているお土産をお渡ししたいのですが、この日にお会いする事は出来ますでしょうか?』


 その日のお昼頃に返事が返ってきた。


『こんにちは!こちらこそいつもいいねありがとうございます、僕がツイッターを始めた当初からフォローしてくれていて感謝でいっぱいです。はい、おそらく開演前は難しいと思うのですが、終演後でしたらお会いできると思います(^o^)』


 意外とすんなりOKを貰った。なんで今になっていきなり会いたいと思ったのか、きっと口に出せない思うことはあるだろうが一応会う約束はできた。勘づかれるかもしれないが、今はとにかくこの人と会って話がしたい、その一心であった。



 今日が本命バンドの今年最後のライブのようであった。その今年最後のライブに志保は大きな事を成し遂げた気分になった。


「では、また次のライブで」

 今日は渋谷の別のライブハウスで行われたライブを選択したRicoがその別れ際を見つめていた。

「志保ちゃん発見!」

 そう声をかけすかさず質問した。

「あの男の人と知り合いなの?」

「うん、前からツイッターでは繋がっていたんだけど会ったのは今日が初めて」

「そうなんだ」


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