第5話後編-1-
小雨が降る中、少し足早にエリカさんに先導されて、仕切りのある個室タイプのラーメン屋に入った
さっぱり柚風味のつけ麺がイチオシだとか
初めての飲酒の〆のラーメンは
驚く程に美味しかった
染みるーというエリカさんの気持ちが凄く理解出来た
「ラーメンひとつにしたって、今君が食べてるラーメンは昨日までの君には無かったものだよね、世の中そんなものまだまだ無限に溢れてるんだよー」
煮卵を頬張りながらクルクルと箸を回すエリカさん
学者さん宜しくのあの棒みたいなやつか
ちょいと大袈裟だけど、自分の世界は狭かったなって実感は確かにした
僕にとっての全てとやらは
世の中からしたら溢れてる僅かなものなわけで
勝手知ったる、知った口を、井の中のなんとやら
そんな言葉が自分だったんだなーと過ぎった
こなた少年はレベルが3上がった
脳内で某RPGゲームの音楽が流れる
何言ってんだ僕
あ、言ってはいないか脳内だし
そして一服、染み渡る苦味
真夜中の繁華街
昨日まで今ここにこうしてるって想像もつかなかったな
吐き出した紫煙はゆっくりと
喧騒と共に暗い空へとのぼり、消えていく
明日の僕はどうか分からないけれど
今この瞬間の僕は、何を頭抱えてへこんでたんだろう
本当にそう思えてきた
「〆も食べたし、濡れちゃうしどっか入ろっか」
朝までまだ時間はある
って言っても何処へ行けばいいやら
アーケードやら店の軒下を進みながら雨を避けて、エリカさんは繁華街の更に中へと進んでいく
僕はその後ろを着いて行った
一際キラキラした看板のビルが密集しているのが見えた
酔った頭でもそれがどういうビルなのか理解出来た
そしてその密集の中へ足を進めてくエリカさん
え、ちょっと、え、ええええ?
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