第4話

 結局、私は自宅療養を続けることになり、勤務先を退職した。I先生のクリニックの事務員さんの助言通り、保険は任意継続保険にして、傷病手当金をもらいながらの通院生活だった。

 しかし一向によくなる気配はなく、オーバードーズや自傷を繰り返し、また「鬱病」「双極性障害」と悪化していく病状に私や家族の理解も追いつかず、当時のことはあまり覚えていないが、母によると「いきなり家出して数日間行方不明だった」「家中から刃物を隠さないと不安で出かけられなかった」そうだ。


 通院し始めて2年ほど経過した頃、I先生に「経済的に不安でしょうから、障害年金を申請したらどうか。この病状なら通るでしょう」と言われた。私はその時には知人の伝手で総合病院にパート勤務していたのだが、I先生は「3級なら通るだろう」とのことで、必要な書類を調べて集め、診断書を書いてもらった。

 余談だが、この時にI先生が「診断書がもう1枚必要なので、年金事務所でもらってきて」と言ったのだが、何故か年金事務所の職員は「渡せません」と言って配布してくれなかった。一度事務所を出てI先生に電話したら、「渡さない権限はないはずだし、必要だからもらってくるように言われたと言ってみて」と言うので、戻ってその旨を伝えたが、答えは同じだった。更に「あなたの症状では年金は出せません」と言われた。

 この時、双極性障害の躁状態だった私は、その場で厚生労働省に電話し、「○県の○事務所の○という職員が、医師がもらってこいという診断書の用紙をくれない上にあなたの症状では年金は出せないと言うが、医師ではなく年金事務所の窓口の職員が認否の判断をするのですか」と問い合わせた。

 これを事務所内でやったものだから、所長が慌てて出てきて申請用の原紙をくれたが、この頃からトラブルになろうと何だろうと、自分の意志を強固に主張する悪癖が始まった。

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