第2話

 デパスがマイスリーになった頃、私は患者からの「死ね役立たず」という言葉に発作的に反応し、自傷した。勤務先が病院なのですぐに処置してもらい、その日は帰って療養しなさいと言われた。

 この時点で、私は自分が「おかしい」と思うようになっていた。いつもの私なら、「はいはい」と聞き流せる程度の暴言のはずだ。でも、それも半年積み重なると、心が弱い人間は壊れかけてしまう。

 私は自分が強いとは思っていなかったが、精神的に幼い部分があるのはわかっていた。そして気づいた。「今の私は何かがおかしい」と。


 帰宅して、当時話題になっていた適応障害や鬱病のセルフチェックを受けてみた。5つほど受けてみたが、どれも「至急受診を」という内容だったので、ネットで検索した心療内科に電話して予約した。初診は1ヶ月ほど先になるという。それまでは何とか頑張ろう、と私はここで間違った選択をした。「頑張ろう」ではなく、勤務先に相談して「休もう」と思わなくてはいけなかった。その勇気がなかったのだ。


 15年前の8月、私は初めて「心療内科」のクリニックを訪れた。

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