第4話 母は家を守ってる

 母は先週あたり、田舎から大量のネギと梅の実をもらってきた。


「はあ」


 玄関先がネギと泥の臭いで、どうにもやるせない気持ちにさせられる。


「あー」


 猫でさえ無臭なのに、玄関の空気を濁さないでほしいと思う。


「ああ・・・」


 で、母はおととい梅ジャムをつくってくれたんだけれども、こんどは梅干をつくるって言う。


「はあ」


 最近は便利ですね、クックパッドで簡単な方法を紹介している。


「まあねー」


 女神、梅干しお好きですか?


「そんなに……」


 じゃあ梅ジャムは?


「んん-」


 ネギはどうでしょうか。


「あまり」


 女神って何を召し上がるの?


「塩とー。米とー、水」


 ささげておきましたからね。


「ん」


 そうかあ、神様って粗食なのです?


「うん、質素」


 なんてお気の毒な。


「そんなことない」


 甘味は?


「少々」


 お酒は?


「たしなむ程度」


 女神、小食?


「うん」


 体ちっちゃい?


「ちっちゃい」


 どうして?


「どうしてって」


 食事に興味がおありでないの?


「うん」


 すみませんでした。

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