クリスマスプレゼント②

その笑顔を見ていると、まるで夢を見ているんじゃないかと思えてくる。……あまりにも可愛すぎて。


「え、あ、私とちーちゃんは、両想い……?ということは、もう恋人……?」


混乱しながらも頭に浮かんだ言葉を口にする。そんな私を包み込むように、ちーちゃんは柔らかく笑った。


「そういうことになるね……ふふっ。七瀬ちゃんってば、動揺しすぎだよ-」


「逆に、何でちーちゃんは余裕そうなの……?」


「全然余裕じゃないよ〜。ただ、驚きよりも嬉しさの方が大きいから……かな」


はにかみながら言うちーちゃんにこっちまで嬉しくなる。そうだ、もう一つ大事なことがあった。私は左手に持ったままの紙袋をちーちゃんの前に差し出した。


「これ、プレゼントなんだけど……今開けてもらってもいいかな」


どうしても今日身につけてもらいたくて、渡しながら言う。


「うん、いいよ〜。なんだろう……」


中の包装された箱を取り出したちーちゃん。空になった紙袋を受け取って、ちーちゃんの様子をじっと見つめた。丁寧に包装をとり、箱を開けたちーちゃんはぱっと表情を輝かせる。


「わあ……!これ、ペアリングだよね」


ちーちゃんへのプレゼントにと考えて選んだものの、半分は私が二人でつけたいという思いからだった。告白がどうなるか分からないから、あくまでも友達同士でつけるものを買った。けど、これで結果的に恋人としてのペアリングになる。


「私がつけてもいい?」


「うん!」


ドギマギしながらちーちゃんの手に自分の手を添えて、もう片方の手でゆっくりと指輪をはめた。


「私も、七瀬ちゃんにつけていい?」


私がすぐに頷くと、ちーちゃんは慎重に私の手をとった。ちーちゃんとペアの指輪が私の指を通っていく。つけ終わると、二人の間になんとなく漂っていた緊張感が和らいだ。そのまま、どちらからともなく手を繋ぐ。


しばらく何も言わずにゆっくり歩いていたら、ちーちゃんがくすりと笑って言った。


「私達、二人共お揃いするのが好きなんだね」


私がきょとんとしていると、ちーちゃんは立ち止まり、手に提げていた可愛い袋を持ち上げる。


「私もプレゼント用意したんだけどね……お揃いの手袋なの。お母さんに教えてもらって、自分で編んだんだよ」


てっきりそのままもらえるのかと思ったら、ちーちゃんは持ち上げた袋を再び元の位置に戻して歩き出そうとする。


「ちーちゃん……」


くれないの?なんて図々しくて言えずに、ただ名前だけ呼ぶ。すると、よっぽど物欲しそうな顔をしていたのか、ちーちゃんはまたくすりと笑うと言った。


「今手袋したら、折角七瀬ちゃんにもらった指輪が見えなくなっちゃう。プレゼント渡すのはあとにして、今はこのままが良いんだけど、ダメかな……?」


うるっとした瞳で見つめられ、即座に首を横に振った。


「ダメじゃない!そういうことなら、全然良い!」


私はどうやら幸せすぎて語彙力がなくなってしまったようだ。繋がれたままの手は、冬の寒さが吹き飛ぶぐらい温かい。私はどこか頭がぼーっとする感覚になりながら手元を見た。ちーちゃんの手にも、私の手にも同じ指輪が光っている。思わず自然と笑みがこぼれてしまう。そうしているうちにちーちゃんと目が合って、二人で微笑みあった。

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