クリスマスプレゼント①

吐いた息が白い。街中はお洒落に着飾ったカップルや、楽しそうに家族や友達同士で歩いている人達でいっぱいだ。それらを眺めながら、ちーちゃんとお揃いのマフラーに手を添えると寒いのにあったかい気持ちになる。冬になって、元々ちーちゃんがしていたマフラーと色違いのものを、ちーちゃんのお母さんがプレゼントしてくれたものだ。


「七瀬ちゃん、寒いのに待たせてごめんね……っ」


待ち合わせ場所に現れたちーちゃんは、走ってきたせいで息が上がっていた。


「大丈夫だよ。それより、そんなに急がなくても良かったのに」


「だって、遅れちゃったらその分、七瀬ちゃんとのお出かけの時間が少なくなっちゃう……」


会って早々、そんな可愛いことを言うちーちゃんにきゅんとしてしまう。同じ家なのに、一緒に行くのではなく待ち合わせたいと言ってきたのもちーちゃんだった。


ちーちゃんの息が整うのを待って、私達はクリスマスイブの街中を歩き出した。あちこちをイルミネーションで飾り付けられた道を二人で歩いていると、左手に持ったプレゼントの入った紙袋に意識が集中する。これを渡すときだ。これを渡すとき……告白する。


私が何度目か分からない決意を固めていると、不意にちーちゃんから手を繋がれる。街中の雰囲気も相まって、それだけで恋人気分になってしまう自分に慌てて首を振った。

まだ何もしていないのに勝手に浮かれるな、自分。今日を境に良くも悪くも関係が変わってしまうのだから、なるべくいつも通りでいないと。


「わあ……綺麗」


大きなクリスマスツリーまで辿り着くと、ちーちゃんは歓声をあげる。純粋に喜ぶ姿に、見とれてしまう。私がクリスマスツリーではなく、自分の方を見ていることに気づくと、ちーちゃんは不思議そうに私を見つめ返した。


「私、ちーちゃんに伝えたいことがあるんだ」


緊張しながらも告げる。私の雰囲気で真剣な話だと察したのか、ちーちゃんも緊張した面持ちで言った。


「私もね、七瀬ちゃんに言いたいことがあったの」


ちーちゃんが私に言いたいこと……?もしかして、海に行ったときに言いかけていたやつかな。ちーちゃんの言葉を聞いて一瞬戸惑ったけれど、今言うと決めたからにはもう止まれない。止まったら、また言えなくなってしまいそうだから。


「私……ちーちゃんのことが好き!」

「私……七瀬ちゃんのことが好きなのっ」


二人の声が重なる。二人で目を合わせると、お互いに数回瞬きを繰り返した。状況を理解するべく、何とか頭を整理しようと声に出す。


「え、えっと……さっき、私は、ちーちゃんのことが好きだって言って……あれ?ちーちゃんは……」


「わっ……私も、七瀬ちゃんのことが好きって言ったよ?」


「え、えええ!?」


驚いてその場から一、二歩後退る私に、ちーちゃんは嬉しそうに微笑んで言った。


「良かったぁ……私だけじゃ、なかったんだね」

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