第119話 文部科学大臣

 莉奈たちとスイーツの食べ放題に行った翌日のことである。

俺は、とある場所に呼び出されていた。


「久しぶりにこっちまで来たな」


 俺は霞ヶ関にあるビルを見上げて言った。

ビルの前には『文部科学省』と書かれている。


 ビルの中に足を踏み入れて入省の手続きをする。


「四宮様ですね。お待ちしておりました。ご案内させて頂きます」


 黒髪でショートカットの美人といえる女性の案内で文科省内を歩く。

そのまま、エレベーターに乗って目的の階で停止する。


「こちらで、お待ちください」


 綺麗に整えられた応接間に通される。

完全個室になっており、周りにはほとんど人が居ない。

今日はあまり人に聞かれたく内容の話なのだろうか。


 それも、そのはず。

俺が今日、会う約束をしているのは、文部科学大臣の森清吉である。


 応接室のソファーに座り、しばらく待っていると再び応接間の扉が開かれた。


「お待たせして申し訳ない」

「いえいえ」


 高級そうな黒のスリーピーススーツを綺麗に着こなして、文部科学大臣の森清吉が現れる。


「まあ、座ってくれ」

「失礼します」


 大臣は俺の対面のソファーへ腰を下ろした。


「それにしても久しいな」

「そうですね。こうして大臣とお会いするのは半年ぶりくらいですかね」

「もう、そんなになるか」


 大臣は用意されたお茶を一口飲んで言った。


「それで、文部科学大臣の森清吉先生がただのアイドルプロデューサーにどういった御用ですかな?」

「君は少し自分のことを過小評価しすぎじゃないか? 君に力を貸したいという人間はこの世に5万といるだろう」

「冗談はやめてくださいよ」


 俺は苦笑いを浮かべる。


「じゃあ、本題と行こうか」

「はい」


 そう言うと、大臣は冊子になっている資料を俺に渡して来た。


「スクールポリス制度というのは知っているか?」

「あの、アメリカなんかで採用されているやつですか?」

「そうだ。その制度を日本でも採用しなかという動きがある」


 スクールポリス、日本語に言い換えるなら学校内警察官というものだ。

近年、学校内で起きるトラブルは教職員だけでは対処できないものも増えていると聞く。


 日本ではまだスクールポリスが正式運用しては居なかったはずである。


「それで、そのスクールポリス制度とアイドルが何か関係あるんですか?」


 俺は資料をペラペラと捲りながら聞く。


「最後のページを見なさい」

「最後ですか」


 そこには、今回の制度を推進するイメージキャラクターを起用すると書かれていた。


「イメージキャラクター、これが何か?」


 具体的に誰がイメージキャラクターになるかなどは書かれていない。

きっと、これから選定するのだろう。


「このイメージキャラクターを四宮くんのプロデュースしているWhiteに頼みたい」


 大臣が真剣な表情で言った。


【あとがき】

お読み頂きありがとうございます!


この度、本作が講談社の水曜日のシリウス様よりコミカライズする事が決定致しました!


コミカライズに伴い、タイトルが変更になります。

『人脈チートで成り上がる地下アイドルプロデュース〜ビラ配りしていた売れない地下アイドルの人生変えてみた〜』となります!


5月12日(木)より連載開始致します!!


何卒よろしくお願い致します!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る