第82話 招待したライブ②
俺が会場に入った数分後、Whiteのメンバーが到着した。
「おはようございます」
「おはよう」
相変わらず、時間に余裕を持ってくれるのはすごくありがたい。
この業界、時間にルーズな子が多かったりする。
「今日は瑠奈さんも見にくるんですよね?」
「ああ、見に来たいって言ってたから招待しといたよ」
妹がライブにくることはメンバーにも伝えてあった。
「じゃあ、頑張らないとですね」
「ああ、頑張ろうな。あと、俺の知り合いの書道家も呼んである。今度、一緒に仕事することになったから」
「また、謎の人脈だ……」
美穂が少々呆れた表情を浮かべていた。
「じゃあ、着替えてきますね」
「はいよー」
メンバーたちは着替えに向かっていた。
しばらくして、開演時間となった。
関係者席の方に視線を向けると、瑠奈と綾辻さんの姿を確認することが出来た。
どうやら、ちゃんと来てくれたらしい。
綾辻さんにはあとで挨拶をしておこう。
「今日の持ち時間は20分か。まあ、いい方だな」
他のグループは15分というところが多いみたいだ。
それより5分多いのはありがたいと思う。
今日のWhiteのステージも最高に盛り上がっていたと思う。
1時間近くの対バンライブは無事に終了したのであった。
そこから、特典会やらで小一時間ほど消費する。
「お疲れさま」
「「「お疲れさまでした」」」
メンバーたちは額に汗を浮かべならも言った。
「じゃあ、俺はちょっと挨拶に行ってくる。着替えとか済ませておいてくれ」
「分かりましたー」
Whiteはそのまま着替えに向かった。
そして、俺は関係者席の方に歩いていく。
「綾辻さん、今日はありがとうございざいました」
「いえ、こちらもいいものを見せて頂きました。White、初めて見ましてけど流石ですね。これからが楽しみです」
「ありがとうございます」
「では、私はこの辺で失礼します。また、近いうちに」
そう言うと、綾辻さんは会場を後にして行った。
「瑠奈もありがとうな」
「んーん、すごく楽しかったよ」
「そりゃ、よかった」
「じゃあ、私は先に帰ってるねー」
瑠奈は小さく手を振ると、帰路に就くようだった。
俺は挨拶を終えると、Whiteの元に戻った。
「お待たせー。これ、来月のスケジュールの決定版が出来たから渡しておくね」
3人にさっき印刷したスケジュールの紙を手渡した。
「ありがとうございます」
「いえいえ。さて、残すところは今月1番のイベントのみだな」
「ですね」
莉奈は緊張と期待が入り混じったような表情を浮かべていた。
今月最後のイベント、それはWhite初のテレビ出演である。
セントレルテレビの向井さんが持ってきてくれた案件だ。
これが成功するか否かで今後の方針も変わってくるであろう。
俺も久々の大きな案件に緊張しているのであった。
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