第62話 兄妹は仲良し

 俺たちは映画館を出ると、俺がいつも行くカレー屋さんへと向う。

ここからだと歩いてそれほど遠い距離ではない。


「ここだよ」


 数分歩いて、俺たちは目的のお店に到着した。

そこは本格的なカレー屋さんである。


 店内に入るとテーブル席へと通された。

ここの店主には通っているうちに顔を覚えられたまではある。


「何にする? 俺のおすすめはバターチキンカレーだけど」


 俺は他3人にメニューを渡して言った。


「四宮さんがそう言うなら、バターチキンにします」

「じゃあ、私もそれでいいかな」

「私もー」


 どうやら、みんな同じものでいいいらしい。


「ナンの種類も選べるよ」


 ここはナンの種類が豊富なのがいい点でもある。

ちなみに俺はガーリックナンが好きだ。


「チーズナンとかいいですね」

「私はごまナンが気になる」

「プレーンにします」


 全員の注文が決まったところで、俺は店員さんに注文を済ませた。


「お兄ちゃんってさ、仕事してる時はどんな感じなの?」


 カレーを待っている間、瑠奈がWhiteの二人に尋ねた。


「何というか、毎日新鮮です」

「驚かされるというか、驚き疲れるというか」

「ははは、やっぱり私だけじゃ無かったんだ」


 瑠奈は嬉しそうに笑っていた。

妹の瑠奈でさえ、兄の人脈には驚かされることがある。


「家に裁判官の友達連れて帰ってきた時は何事かと思ったよね」


 兄の変な交友関係は聞いていたが、実際に目にすると驚くものがある。

事実、あれは極め付けに驚いた。

そこからは、兄が誰を連れてこようが慣れていったが。


「プライベートまでそんな感じなんですね……」

「てか、本当にどの業界にも知り合いがいて怖いわ」


 二人はいつものように少し引き攣った表情を浮かべていた。


「そういえば、お二人はご実家で住んでいるんですか?」


 莉奈が連れて帰ってきたというところに引っかかったのか尋ねてきた。


「いや、ここから二駅くらいのところにマンション借りてるよ」

「そう、私とお兄ちゃんの二人暮らしだよ」


 まあ、最初は勝手に転がり込んできたのだが、この生活に慣れてしまっては抜け出せないものがある。


「本当に仲がいいんですね」

「まあ、家賃は折半できるからありがたいな。あと、飯がまじで美味い」


 家賃が半分になると、少し広めの部屋にも住むことができる。

俺が少し多めに出してもいい部屋に住めるならそれでいい。


 ご飯が出てくるのはシンプルにありがたいと思う。


「へぇ、瑠奈さんは料理が上手なんですね!」

「そんなことないよ。お兄ちゃんの好みに合わせてるだけ。これでも24年妹やってるわけですから。今度、遊びにおいでよ」

「え、いいんですか?」

「いいよね? お兄ちゃん」

「まあ、別に構わんよ」


 瑠奈がいいなら特に俺に断る理由も無い。


 そんなことを話していると、注文したカレーが運ばれてきた。

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