第63話 対バンライブへ

 今日はカレーを食べ終わると解散となった。

兄妹で休日を満喫するつもりが、結局Whiteのメンバーと関わることになった。

もはや、これは運命かもしれない。


「莉奈さんたち、いい人だね」

「うん、だからこ俺もそ頑張りたいんだよね」


 あの子たちにはもっと上の景色を見せてあげたいと思うし、上に行くべき逸材だとも思っている。


「お兄ちゃんならできるよ」

「ありがとうな」


 それは決して希望的観測で言ったのでは無い。

瑠奈は誰よりも近くて四宮渉を兄として見てきた。

そして、知っている。

この男なら普通は机上の空論と思われることもなし得てしまう。


 それほどまでに人脈は武器となるのだ。


 空は茜色に染まり、今日も一日が幕を下ろそうとしていた。


「今日は楽しかったね」

「ああ、久しぶりに休日を楽しめたよ」


 こうして、兄妹で出かけるのは楽しい。

社会の荒波に揉まれている身からすると、良いリフレッシュになった。


「また、一緒に出かけようね」

「おう、そうだな」


 こうして、俺たちは帰宅した。


 そして、翌日。

また、普通に出勤する朝がやってきた。


「おはようございます」


 通勤電車に揺れらて、職場に到着すると俺はデスクに座った。


「お疲れ様です。これ、四宮さん宛です」

「ありがとうございます」


 事務員の女性が俺宛の封筒を手渡してくれた。

送り主はアイドル雑誌を刊行している編集部からとんなっていた。


「お、色校がきたか」


 ここの出版社も仕事が早いと聞いていたが、このスピード感でくるとは思わなかった。


「さて、どんなもんかな」


 俺は封を綺麗に開けると、中身を確認する。


「さすがだな」


 やはり、貴雄の仕事は素晴らしい。

メンバーの個々の良さを存分に引き出してくれている写真に仕上がっていると思う。


 これも、あとでメンバーに直接確認してもらうとしよう。


「今日は対バンライブかー」


 午後から対バンライブが新宿で組まれていた。

今日の運営は俺の昔からの知り合いがやっているので、一言挨拶はしておきたい。


「ちょっと早めに行くか」


 時刻はまだ12時を回っていないくらいだが、俺は新宿に向うことにした。

社長には一言断りを入れて、オフィスを出た。


 冬の寒さからも解放されて、少し暖かくなってきた今日この頃。

スーツのジャケットも少し暑く感じてくる。


 そんなことを思いながら、俺は新宿方面の電車に乗った。


 大体20分ほど電車に揺られて、新宿に到着する。


「先に、お昼は済ませておくか」


 俺は先に適当なところで昼食を済ませることにした。

ビジネスマンとして、さっと食べてさっと出れるところが便利だったりする。


 昼食を済ませてしまうと、俺は本日の対バンライブの会場となるライブハウスへと歩みを進めた。


 

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