第45話 仕事の進行

 今日のライブも成功したと言っていいだろう。

チェキの撮影の時も盛り上がりを見せていた。

新規のファンも増えてきたように感じる。


 それと同時にマナーの悪いファンが出て来るのもまた事実なのであるが。


「みんなお疲れ様。着替えたら話したいことがあるから集まってくれ」


 俺はライブと特典のチェキ会を終えたメンバーたちに言った。


「「「はーい」」」


 そのまま、メンバーは着替えに向かう。

俺は着替え終わるのを控え室で待っていた。


「お待たせしましたー」


 しばらく待って、メンバーは着替え終わった。


「大丈夫だよ。まずはこれ」


 俺は一枚の資料を3人に渡した。


「向井さんからテレビ出演のオファーがあった。社長の許可は出てるからあとはみんながどうしたいかだ」


 先日、社長には話を通したが、メンバーにはタイミングを逃して言えていなかった。


「凄すぎます……」

「もう、テレビ出演のオファーですか」


 3人は驚きと困惑の表情を浮かべていた。


「出るか?」

「「「でます!」」」


 3人の声が重なった。

テレビ出演は知名度アップには大きなものである。

このチャンスを逃す訳にはいかないだろう。


「分かった。じゃあ、その方向で話を進めていくわ。じゃあ、次な」


 俺はもう一枚の資料をメンバーたちに渡す。


「知り合いにコンセプトカフェのオーナーがいて、ぜひゲスト出勤して欲しいっていう依頼があったんだ

けど、どうかな?」


 コンカフェにゲスト出勤をするメリットはそれなりにある。

ファン層が広がったり、今のファンとの交流の場になったり、知名度を上げるチャンスとなる。

もちろん、売上の一部がメンバーにも給料として支払われる。


「面白そうじゃん」

「私も、興味あります!」

「接客楽しそう」


 それぞれ、メンバーは乗り気なようであった。


「じゃあ、こっちもやってみる方向で進めていいか?」

「はい!」

「了解! じゃあ、こっちも話を進めておくね」


 メンバーの了承が取れたところで、俺は両方の話を進めることにした。


「俺からはこのくらいなんだけど、みんなからは何かある?」

「いえ、私たちの方からは特に」

「じゃあ、今日はこれで解散ということで。お疲れ様でした」


 そこから、俺はメンバーを駅へと送っていく。


「四宮さんは帰らないんっですか?」

「うん、事務所で作業が残ってるから」


 俺はまだやるべき仕事が残っていたのだ。


「分かりました。四宮さんも無理しないでくださいね」


 莉奈がそう言って微笑んだ。


「おう、ありがとうな」


 俺は改札を通り抜けるメンバーたちを見送ると、事務所へと引き返す。

今日中にはスケジュール調整などの仕事をすましておきたかったのだ。


 事務所に戻ると、定時を過ぎているので誰も居なかった。

社長室の明かりは漏れていたので望月さんはまだ残っているのだろう。


 俺からしたら、望月さんの方がいつ休んでいるのかよっぽど分からなかった。

 

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