第22話 SNS戦略再び

 帰宅してしばらく経過すると、集央出版の福田さんからメールが入った。


 そのメールの内容としてはWhiteを載せる雑誌の刊行時期が決定したというものだった。

来月の頭に刊行される雑誌にWhiteのグラビアを載せる方向で進んでいるらしい。


 撮影スケジュールも一緒に送られて来ていた。

うちとしては問題ないスケジュールだったため、了承をした。


 そして、俺はWhiteのグループに日程を送る。


『来週の水曜日に週間少年ブレイブの撮影が入った。ここが撮影スタジオだからよろしく頼む』


 俺はスタジオの地図のリンクを貼った。


『了解です!!』

『撮影は初めてなので楽しみにしています』

『分かりましたー』


 三人からは了承のメッセージが返ってきた。


『所で、明日って空いてる? 暇なら付き合って欲しいんだけど』


 俺がグループに送った。


『デートのお誘いですか?』


 美穂からすぐにからかったような返信があった。


『いや、普通に仕事がしたい』

『四宮さん真面目すぎwww』


 俺としては普通にメッセージを送っただけなのだが、若い子のノリはよく分らないものだ。


『明日の昼頃原宿に来れるか?』


『行けまーす』

『わたしも』

『行けるよ』


 そろそろSNSに上げる写真が欲しいと思っていた所なのである。

一発目にあれだけのいいねを稼げたのでこういうのは定期的にやっていきたい。


 そして、今回の舞台が原宿という訳である。

原宿といえば若者の街である。

今回は映える写真が撮れるのではないだろうか。


『じゃあ、明日の12時に原宿によろしく頼むわ』


 俺はそうグループに送るとスマホを閉じた。


「さて、風呂入って寝るか」


 今日、瑠奈は友達とディナーに行ってくると連絡があった。

まあ、いい大人が夜に誰と出かけようが別にいいだろう。


 実際、俺もあまり深入りはしていなかった。


 シャワーで体を流して湯舟に浸かる。


「はぁ、もっと頑張らなきゃなー」


 まだ、現状に満足してはならない。

現状に満足するということは向上心をなくすという事に等しい。


 この業界で向上心の無いものは死と同じようなものだ。


「そろそろ出るか」


 俺は一通り洗い流すと、風呂を出た。

そこから、 メールのチェックをしてベッドに入った。


 目を閉じるとやがて、意識を暗闇に落とした。



 ♢



 翌日、普段通りの7時半にはベッドから起きた。


「お兄ちゃんおはよー」

「おう、おはよ。今日、仕事は?」


 瑠奈はまだパジャマのままだった。

いつもなら、もうオフィスカジュアルな服に着替えている時間だ。


「有給消化しろってさ」

「ホワイト企業だな」

「まあねぇ」


 俺は有給なんて取れせてもらったことが無かったので、ちょっと羨ましい。

今度望月さんに有給取れるか聞いてみよう。

まあ、今は休んでいる場合ではないのだが。


「今日、原宿行ってくるから帰り遅くなるかも」


 俺は朝食を食べながら言った。

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