第21話 次の仕事を

 向井さんは本題へと切り込んだ。

こういうところは相変わらずだと感じる。


「みんなも座っていいよ」


 俺はWhiteのメンバーを隣に座るように促した。


「失礼します」


 そう言いながら、メンバーたちはソファーに腰を下ろした。


「以前、私は四宮さんと仕事させていただき、その誠実さに感銘を受けました。この業界では珍しいとも」


 確かに、闇は深い業界だとは思っている。

色恋沙汰などは日常のように目にする。


 しかし、俺は自分の人脈と営業でアイドルを押し上げた。


「その四宮さんが事務所を退職して新しいアイドルのプロデュースをしていると聞き、ぜひまたご一緒させていただきたい。いかがでしょう?」

「私としては願ってもないご提案です。ぜひ、お願いしたいと思っています。どうかな?」


 俺はメンバーの方を見て聞いた。


「ちょっと、話が大きすぎてついて行けないんですけど」


 莉奈がポカンとして言った。


「でも、これは大きなチャンスですし、お願いしたいです」


 莉奈の言葉に他のメンバーも大きく頷いた。


「分かりました。よろしくお願いします」


 向井さんはメンバーたちと握手を交わした。


「では、詳細の方は四宮さんに送らせていただきますね。今日はいいものが見れました」

「承知しました。こちらこそ、わざわざお越しいただきありがとうございました」

「はい、私はこれで失礼させていただきます」


 そう言うと、向井さんは立ち上がった。


「ありがとうございました」


 俺は頭を下げた。


「はぁ、何とか決まったな」


 これで同時進行している仕事が2本になった訳だ。

ここから人気に火がついてくれるのを願うばかりである。


「四宮さん、さすがです!!」

「うん、こんなにポンポン仕事が決まるなんて今まで無かったしね」

「確かに」


 メンバーたちは俺に感動したような視線を送って来た。


「ありがとう。でも、まだこれからが勝負だからな。一緒に頑張ろう」

「「「はい!!」」」


 その返事は期待に溢れていたように感じた。


「さて、今日はもう帰ろうぜ。着替えてきな」

「分かりました」


 そう言うと、メンバーたちは着替えに向かって行った。

俺はコーヒーを飲みながら着替えを待っていた。


「お疲れ様でした」


 しばらくして着替え終わったメンバーと共に会場スタッフに挨拶して、会場を後にする。


「じゃあ、気をつけて帰ってくれ。仕事の情報は分かり次第共有するから」

「ありがとうございます」


 俺とメンバーたちは反対方向の電車へと乗った。

約20分ほどで俺は自宅の最寄り駅に到着した。


 まだ外は明るさが残っている。

やはり、定時に帰れるってのはいいもんである。


 俺は最寄りから自宅までの道のりをゆっくりと歩いて帰宅したのであった。

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