第7話 影の天才

 望月さんは子供のような笑みを浮かべていた。


「四宮くんはな、ユメミヤの初期から担当していたプロデューサーだ」


 社長の言葉にメンバーたちは表情を変えた。


「「「えぇ!?!?」」」


 やはり地下アイドルをしているのだから、ユメミヤの存在は知っているらしい。

まあ、結構有名なところまで押し上げたからな。


「あの、そんな凄い人がどうして私たちの?」


 莉奈が俺に疑問をぶつけてきた。


「シンプルに言ったら、一目惚れかな。この子たちの人生変えてみたくなってしまったというか」

「なるほど……」

「どうだろう、俺にプロデュースさせてくれないか?」


 俺はメンバーたちに視線を向けて言った。


「ぜひ、お願いします!! いいよね?」


 莉奈は他のメンバーを見ながらそう言った。


「もちろん!」

「そんな凄い人が私たちを見ていてくれたなんてね」


 美穂と友梨も反対意見はなさそうである。


「どうやら、決まったみたいだな」


 隣で見ていた望月さんが口を開いた。


「これで、四宮くんを正式採用。そして、後のことは任せるよ。この部屋を好きに使っていいから」

 

 そう言うと、望月さんは応接室を出て行った。


「じゃあ、早速始めようか。まずは、今入っているイベントとかあれば教えてもらえる?」

「分かりました。これです」


 莉奈がスマホのスケジュール帳を開いて俺に見せてくれた。


「なるほど。二週間先までのライブの予定がほとんどだね」


 俺は自分のスケジュール帳にその予定を書き込んでいく。

ちなみに俺はアナログ式だ。


「あ、今、古いとか思った?」

「い、いえ。そんなことは」


 俺はこっちの方がしっくりくるので、ずっとアナログなメモ帳を使っていたのだ。


「まあ、冗談はいいとして、もっとメディアへの露出を増やして行く必要があるな」


 正直、ライブだけでは限界がある。

様々な媒体を使って認知度を上げていかねばならない。


「みんなSNSのアカウントって持ってる?」

「はい、持ってます」

「見せてもらっていい?」


 3人は俺にスマホの画面にSNSのアカウントを表示させて見せてくれた。


「1番フォロワーが多いのは莉奈か」


 3人の中では1番多いがそれでも2000人ちょっとだった。

美穂は1200人、友梨は1000人くらいだった。


「これは、SNS戦略も必要だな」

「あの、SNS戦略ってなんですか?」


 美穂が俺に尋ねてきた。


「SNSをバズらせてフォロワーを増やす。そうやって知名度を上げて行くんだよ」

「簡単にできるんですか?」

「そうだな、これに関しては実際にやってみた方が早いかもな。今日ってこれから時間ある?」


 俺は3人に尋ねた。


「はい、大丈夫です」

「じゃあ、ちょっと出かけようか」


 俺は早速、SNS戦略を実行することにした。

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