第6話 顔合わせ

 俺は望月さんの計らいでWhiteのプロデュースに関われることになった。


「実は、まだWhiteには専属のプロデューサーもマネージャーも付いていなくてな」

「そうだったんですね」

「ああ、だからこそ君の申し出は渡に船だったわけだ」


 頃合いとしては、専属のプロデューサーを付けてもいいと思っていたのだろう。

望月さんの口ぶりからなんとなくそんな感じがした。


「それは、良かったです」

「でも、大バカな奴もいたもんだな。君みたいな有能な人材を手放してしまうとは」


 望月さんは笑いながら言った。


「そう言っていただけるとありがたいです」


 俺がそう言うと、望月さんは立ち上がって従業員にWhiteのメンバーを連れてくるように頼んでいた。

もう、この事務所に居るのだろう。


 そして、その数分後に応接室の扉が開かれた。


「失礼しまーす」


 その声に続いて莉奈を先頭にWhiteのメンバーである3人が入ってきた。


 メンバーの3人は社長の顔を見てから、俺の顔を見つめてきた。


「あなたは……!?」


 真っ先に声を上げたのは莉奈だった。

やはり、覚えていてくれたのだろう。


「覚えていてくれて良かったよ」


 俺は立ち上がり、莉奈と視線を合わせながら言った。


「みんな、そっちに座りなさい」


 いつの間にか俺の隣のソファーに移動していた望月さんが、メンバーたちに言った。


「は、はい」


 少し恐縮しながらも、メンバー3人は腰を下ろした。


「こいつは俺の昔からの知り合いでな。四宮くんだ」


 望月さんが俺をメンバーに軽く紹介してくれる。


「初めまて、じゃないかな。四宮ですよろしく」


「音坂莉奈です」

「佐藤美穂です」

「双葉友梨と申します」


 メンバーがそれぞれ挨拶してくれる。


 莉奈は正統派な美人。

黒髪を胸の位置まで伸ばし、赤のインナーカラーを入れている。

こういうタイプが万人受けする顔なのだろうと思わせる。


 美穂はボーイッシュな感じ。

明るい茶髪のショートヘアに、かっこいい感じの顔立ち。

どちらかというと、女子人気も狙っていけそうな雰囲気である。


 友梨は妹タイプ。

暗めの茶髪を肩の位置まで伸ばし、緩くウェーブがかかっている。

こういうタイプを嫌う男は少ないのではないか。


 なんとも、いい感じにバランスが取れているのではないだろうか。


「そろそろ君たちにも専属のプロデューサーをつけようと思ってな。それを四宮くんにお願いすることにした」


 社長の言葉にメンバーたちは驚いた表情を浮かべていた。

まあ、驚くのも無理ないだろう。


「あの、専属のプロデューサーはありがたいのですが、失礼かもですけど四宮さんの経歴って」


 莉奈が恐る恐る望月さんに尋ねた。


「それはだな。ここだけの話にして欲しいんだが、聞いて驚くなよ?」


 望月さんは子供のような笑みを浮かべた。

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