第3話 劣等感

私はそれを読み終えるとすぐさま体や頭を早急に洗って急いでお風呂場から出て、2階の自室に帰ろうとする。

 私のばあちゃんは、周りのおばさんと違って、老いても物覚えがよくスマホの使い方や電子機器などに強く無料通話アプリでメッセージなど容易にこなしてしまう。そのため近所の老人たちもそのことで頼りにされているらしい。

 個人的にはすごいばあちゃんだと誇りに思うが、困った人達が相談しに家に来てしまうため、うるさくて仕方ない。

 この辺りは車どおりも少なく比較的静かでかつ、耳が遠いお年寄りだと声が大きくなるので少し気になってしまう。だからと言ってうるさいと文句を言ってしまうと、嫌われてしまうかもしれないので何も言わない。

 急いで浴槽の栓を抜いてお湯を抜き、バスタオルで水気を急いで取って下着だけ着てスマホと上着とか着るものを取って2階に上がっていく。

 

ドタドタドタ。ガチャ。バタン!


 何とか鉢合わせることはなく、他の部屋とは異なった、薄暗い自室に戻ることができた。すると下の玄関から、「ただいま~」と元気のよいばあちゃんの声が弱く聞こえてくる。

 危なかった。あと少し遅かったらめんどくさいことになっていた。長くため息をつき、再び定位置である椅子に力なく座り、上着を着る。スマホを机の上に置き再び、パソコン操作を再開する。

 こういう日常を何日も続ける。人によってはつまらないとか、時間の無駄だと思われるが、そんな考えどうでもよい。これが私が過ごしていく、過ごしていける、最低で最高な、生き方。

 そしてご飯を食べて、思う存分ゲームを楽しんでいるといつの間にか太陽は沈み、外は真っ暗になっていた。また右下に視線を向けると、現在時刻は、2:31になっていた。

「……もう寝ようかな」

 インターネットブラウザでアプリの攻略サイトを調べていたので閉じようと右上にマウスポインタを持って行くと、とある広告が目に入る。

『あなたの要らないモノは何ですか?』

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