第5話 決断



 王都にたどり着いた私は、奇跡的に生き残っていたザックス達と合流し、自分を王族とすることを提案した。


「貴方が無事でよかった。怪我はない?」

「大丈夫です。でも、どうしてここへ?」

「それは、私が一時でも王族だったからよ」


 ここに来たのは、各地で戦う兵士達に、命令を出し、無駄な争いを行わせないためにだった。


 王家から追放されている私だが、出来る事はあるはず。


 これで死ぬ人達が減れば良いのだが。(非常事態なので、追放のつじつま合わせは何とか残っていた良心的な者達に丸投げした)


 そして私は、私の命を隣国の王である虐殺王子バラックに差し出す事を提案した。


 当然、ザックス達は反対し、悲しみ、憤ってくれた。


 けれど、これしか方法がないのだ。


 私はこの一年間、多くの人に支えてもらった。


 一度は失った自由を・幸福を取り戻した。


 だから、恩返しがしたかったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る