第4話 居心地の良い場所



 近所付き合いで野菜をわけてくれるおじいさん・おばあさん。

 いつも遊びに来てくれる隣の家の子供。

 余った食事をさしいれてくれる世話焼きのおばさん。


 貧乏生活の時にした小銭稼ぎで培った、こまかい細工物で、害獣を捉えるための罠をつくりながら、一年ほどの期間が過ぎていった。


 それくらいの時間が経った頃、ザックス達はあまり村に来れなくなっていた。


 王都で何かあったのかもしれない、と心配していた頃に旅人から、その情報を聞いたのだった。


 突如、隣国が攻めてきて王都が大混乱していたという話だ。


 その国は長年、友好的ではなかったが、まさか戦をおこすまで関係が悪化するとは思わなかった。


 ザックス達はおそらくこの戦いに駆り出されているのではないだろうか。


 私は不安になった。


 王都では、王族たちはみな逃げ出して、統率する者達がいなくなっているらしい。


 降伏の条件が、王族の命を差し出す事らしいのだから、当然と言えば当然だろう。


 彼らの心には、国民のために命を差し出そうという意識はないはずだから。


 隣国の軍を放っておいたら、おそらく国中がめちゃくちゃになってしまう。


 ここはまだ大丈夫だろうが、それはこの辺境の村も例外ではない。


 私は、決断した。


「今までありがとうございました」


 そう、手紙の書き残してその村を出たのだ。


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