雨の後
それから高校に入る前に、うねりやすい髪に縮毛矯正をかけて、花柄の明るい傘を買って、優香の毎日は色づいてきた。
高校に入学して、友達が増えたのも、大和と仲良くなれたのも、きっとあの雨の日の時間があってからこそだと優香は思う。
昔を懐しみつつ、もう五時間目になっている授業に耳を傾ける。窓を見ると、雨は朝よりも小雨になっていた。
放課後、下駄箱から靴を出して、帰ろうとすると、今朝寂しい気持ちで見送った背中を見つける。
大和だ。
優香が「佐野」と名前を呼ぼうとしていたとき、後ろからポニーテールの女の子が大和に走り寄る。
「もう!大和待ってよー!支度はやい!」
「お前が遅いんだろー、早く行くぞ!」
大和は私が見たことのない顔で笑っていた。頬がほんのり赤くなっている。
優香は自分のところだけ雨が強くなって、気温が寒くなっていく気がした。
恋が終わっていく音がした。
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