7分間

「クラスどこだった?」

大和はすこし低い声で、私の目を見ながら聞いてくる。

「A組。佐野は?」

「俺はE組。じゃあ結構遠いな。」

「そうだね。」


そこからは何かを話そうにも言葉が出てこなくて、会話も終わってしまい、あっという間に7分が経った。

「じゃあ、ばいばい。」

大和はそう言って早足で電車を出て行ってしまう。友達と約束でもしているのだろうか。


去年同じクラスだった大和は、雨の日だけ、チャリ通の彼はこの電車に乗ってくる。


高1の9月、隣の席になって、くだらない話をするほどには仲良くなった時には、私は雨の日の朝をソワソワして待つようになった。

だけど、クラスも離れると接点も減り、今では会話もあまりできていない。

それでも大和が乗ってきてから、電車が着くまでの7分間を私はとても大切にしている。

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