雨晴れ晴れ
椿
朝
「うわーー最悪!!髪の巻き取れた!」
「私も!まじで今日雨なのうざいよね」
朝、会社員と学生で混み合う駅の中で隣の女子2人組が愚痴をこぼす。
4月上旬、新学期が始まったというのに、雲は重苦しい灰色で、どんよりした空気を存分に漂わせながら大粒の雨を降らしている。
そんな天気とは裏腹に、最近高校2年生になったばかりの水野優香は、この電車に乗るのに胸を高鳴らせていた。
7時56分発、快速、5号車。
雨の日のこの電車を逃さないというのは彼女のマイルールだ。
三駅分ソワソワし、学校まで残り二駅の時、優香は窓の外を見るふりをしながら、電車に乗り込む人々を見る。
今日も、いる。
雨のせいか、いつもよりも多く人が乗り込んでくる中で、優香が座っている席の前の吊り革が握られる。
「おはよう」
上からした声にすこし緊張しながら顔を上げる。
「おはよう、久しぶりだね」
声をかけてきたのは黒いストレートの髪をを腕にもたれかけた、佐野大和だ。
学校の最寄り駅まであと7分。
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