第5話

結局アタシは、なあなあな気持ちを抱えたまま、潤一さんとの挙式披露宴の準備を進めた。


その間に、アタシのおじと両親はアタシと達郎さんの挙式披露宴の準備を勝手に進めた。


達郎さんの実家の家族たちと連絡がつかないので、おじはものすごく弱った。


6月の第2土曜日の夜、アタシは湯ノ浦のリゾートホテルに泊まることにした。


アタシは、両親に『明日の朝早くに帰ってくる…友達の家に泊まる…』とウソをついて湯ノ浦へ行った。


そして、6月の大安吉日の第2日曜日がやって来た。


湯ノ浦のリゾートホテルでは、潤一さんとアタシの挙式披露宴が行われた。


ガーデニングウェディングは、無事に終わった。


その後、披露宴が始まるまでの間のひとときをホテル内にあるカフェテリアで過ごす。


この時、アタシはあきのりと会った。


「あきのり。」

「はるか。」

「来てくれてありがとう…今日の披露宴の司会よろしくね。」

「わかったよ。」


あきのりは、つらそうな声でアタシに返事をした。


そんな中であった。


アタシのギャラクシー(スマホ)に電話の着信音が鳴った。


アタシは、おそるおそる電話に出た。


「もしもし…おじさん…なんなのよ一体もう!!どうして勝手に準備を進めたのよ!!」


アタシは、おじから『いまこく(今治国際ホテル)で、アタシと達郎さんの挙式披露宴の準備ができているからおいで。』と言われたので、思い切りブチ切れた。


アタシは、湯ノ浦のリゾートホテルにいることをおじに伝えた。


それを聞いたおじは、ものすごい血相でおんまく(思い切り)怒った。


「湯ノ浦のリゾートホテル!!なんで湯ノ浦のリゾートホテルにいるのだ!?」


激怒したおじは、タクシー乗り場へかけて行った。


おじは、タクシーに乗ってアタシがいる湯ノ浦のリゾートホテルへ向かった。


おじが到着した時、結婚披露宴が始まる前であった。


この時、館内は険悪なムードに包まれた。


「はるかちゃん!!」


白いウェディングドレス姿のアタシは、おじが土足で新婦の控え室に入ってきたので怒鳴りつけた。


「おじさん!!新婦の控え室に土足で上がらないでよ!!」


おじは、ものすごい血相でアタシを怒鳴りつけた。


「はるか!!今すぐいまこくへ行こう!!」

「イヤ!!拒否するわ!!」


アタシとおじがもめていたのを聞いたあきのりが、アタシのいる控え室に駆けつけた。


アタシは、あきのりに事情を説明した。


「あきのり!!おじさんが勝手に挙式披露宴の予定を入れた上に妨害したのよ!!」


ことの次第を聞いたあきのりは、すっとんきょうな声をあげた。


「エーッ!!」

「お願い!!追いだしてよ!!」

「しょうがないなぁ~…オイコラ!!クソジジイ!!帰れや!!」


あきのりは、力づくでおじを追いだした。


「なにするんだ!!」

「帰れいよんのが聞こえんのか!?」

「やめてくれぇ~」


このあと、おじはあきのりと潤一さんの友人たちからボコボコにどつき回された。


アタシと潤一さんの披露宴は、ダブルブッキングが原因によるトラブルでお流れとなった。


潤一さんは『約束が違う!!』と言うてアタシを怒鳴りつけたあと、ホテルから出て行った。


このあと、アタシはおじから『達郎さんに謝りなさい!!』と言われたので、いまこく(今治国際ホテル)に行くことになった。


いまこくに到着した時のことであった。


この時、達郎さんの両親と兄夫婦がやって来て、達郎さんを怒鳴りつけていた。


「わしらは勝手なことをするなと言うたのに、なんで自分勝手したのだ!?」


達郎さんのお父さまが、部屋中に響く声でおらんだ(さけんだ)。


「達郎!!おとーさんとおかーさんは、じっと待っていなさいと言うたのよ!!」


達郎さんのお母さまも、大声でおらんだ(さけんだ)。


アタシのおじは、達郎さんの実家のご家族におわびしようと思ったが、達郎さんのご両親が達郎さんにお説教していたのであやまることができなかった。


サイテーね…


こんなことになるのであれば、結婚なんかするんじゃなかったわ…


アタシは、冷めた目つきで達郎さんの家の親族たちをにらみつけた。


達郎さんは、挙式披露宴がお流れとなったあと、強制的に実家へ戻された。


その日の夜、アタシも両親からこっぴどく叱られた。


「好きな人がいるならいると、なんで言わなかった!?」

「そうよ!!あんたが大事なことを言わないのでお母さんもお父さんも困っていたのよ!!」


アタシは、両親にハンロンしたあとはぶてた(すねる)。


「なんなのかしら一体…おかーさんとおとーさんは、アタシと潤一さんの結婚を反対していたのね!!」

「反対していないわよ!!」

「したわよ!!」


アタシと両親がひどい言い合いをしたので、話し合いがこじれた。


一方、達郎さんの両親もひどく怒っていた。


達郎さんの両親と兄夫婦は、達郎さんの今後のことについて話し合いをしたが、話し合いがこじれた。


「本当に、どう言ういうことかしら!!」

「全く!!羽島さんは、はるかさんに好きな人がいるのを分かっていて、達郎との結婚を進めた!!全くけしからん!!」

「達郎は、結婚相手が近くにいないから、アタシが面倒見るわ。」

「かあさんはそう言うけど、それでいいのかよ!?」

「そうよ!!万が一、義母(おかあ)さまと義父(おとう)さまがいなくなったら、誰が達郎さんの面倒を見るのですか!?」

「あんたたちが達郎の面倒を見るのでしょ!!」

「なんだよ急に!!」


達郎さんの両親と兄夫婦は、ヨレヨレになるまで怒鳴り合いの大ゲンカを繰り広げた。


それから3日後…


潤一さんは、アタシと別れたいと言うメールをアタシのスマホに送って来た。


アタシは、夕方頃に潤一さんに会いに行くことにした。


夕方5時過ぎに仕事を終えたアタシは、タイムカードを押して会社を出た。


アタシは、バスに乗っていまこく(今治国際ホテル)へ行った。


潤一さんは、そこから夜行バスに乗って東京に行くので、見送りをすることにした。


夕方6時頃のことであった。


バスを降りたアタシは、夜行バスの乗り場で潤一さんと会った。


「潤一さん。」

「はるか。」


潤一さんは、大きなスーツケースを持っている。


アタシと潤一さんは、別れる前にこんな話をした。


「はるか…ぼくは、会社をやめて外国へ行くことにした…」

「ええ?会社をやめたの?」

「ああ…やめた。」

「それで、どこへ行くの?」

「そうだな…誰も知らない誰も行ったことがない国に行こうと思ってる。」

「誰も知らない国?」

「どこだっていいだろ…はるか…楽しかったよ…君と過ごした日々と時間を…ぼくは忘れない。」

「潤一さん…」

「サヨナラはるか…オレのことはきれいに忘れて、ちがう男と幸せになれよ…」


潤一さんは、アタシに別れの言葉を言った後、東京品川バスターミナル行きの夜行バスに乗り込んだ。


潤一さんを乗せた夜行バスは、いまこくの敷地内を出発した。


アタシは、ぼうぜんとした表情で潤一さんを見送った。

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