12.攻撃のガイア
「ユルサナイ!!!!」
【原色の悪魔】土の巨人ゴーン。対峙するのはマスターウルフの攻撃のガイア。
体格差倍以上の相手に攻撃の構えを取る。ゴーンは右手を大きく上げるとガイアに向けてその拳を振り下ろした。
ドン!!
意外にもガイアはその攻撃を両手でまともに受け止める。
「ぐぐっ」
予想よりも強い攻撃。力ではウェアウルフの里で右に出る者はいないガイアだったが、この攻撃は何度も受けられないと直感する。
今度は横から強烈なゴーンの攻撃が飛んでくる。
フッ!!
その攻撃を跳躍して避け、そのままゴーンに向かって自慢の爪で斬りかかった。
ガン、ガリガリガリッ!!
「くっ!!」
予想以上の硬さである。
ガイア自慢の硬い爪で攻撃するも、それ同等の硬さのゴーンには引っかき傷程度しかダメージを与えられない。動きも遅くない。堅固な体に強烈な攻撃。中途半端な気持ちでは勝てないことをすぐに理解した。
「全力で行くぜ、マスターウルフの名にかけて!!」
「コロス、コロス!!」
ゴーンは同じフレーズを何度も繰り返しガイアに迫って来る。
「力を一点に。奥義! ガイア突き!!!」
ガイアは全身の力を右爪に集中させ、大きな声と共にゴーンの腕を突いた。
ドーーン!!!
「ゴオオオオオ!!!!」
ガイアの渾身の突きによってゴーンの右手の一部を破壊。その強烈な突きは激しい衝突音と共に、周囲の空気を振動させるほどであった。
右腕の一部を破壊されたゴーンが一旦下がる。
「はあ、はあ……」
奥義を放ったガイアの息が激しくなる。全エネルギーを集中して放つ技。体力の消耗が激しい。
右手の一部を破壊されたゴーンが、その手をぶらぶらさせながらガイアに言う。
「オマエ、ゼッタイニ、許サナイ!!」
ドン!!
「!?」
ゴーンはそう言うと、破壊された右手を思い切り地面に突っ込んだ。そしてゆっくりと引き出す右手。それを見てガイアが愕然とする。
「そんな馬鹿な、治ってる……」
地面から出されたゴーンの右手は綺麗に修復された状態で出て来た。大地こそがゴーン。ゴーンにとっては大地こそが自分の全てであった。
再び襲ってくるゴーン。ガイアはもう一度奥義の構えをする。
「奥義! ガイア突き!!」
ドン!!!
再び出された奥義。ゴーンは右腕のすねを強化させそれを受け止める。そして奥義の一撃を耐えると、今度は
バキンッ!!!
「ぐわああっ!!!」
巻き上がる砂埃。想像よりもずっと速かったゴーンの一撃。何が起こったか理解できなかってガイアは一度大きく後退する。そして自分の右手を見て唖然とした。
「何、だと……!!」
自慢の、ウェアウルフにとって最も大切で、強さと力の象徴である爪が根元から綺麗に折られていた。
「そんな馬鹿な……」
動揺するガイア。最大の武器である爪を失くしてこの先どう戦うのか。愕然とするガイア。
その動揺を見抜いたのか土の巨人ゴーンは目の前までやって来て、思い切りガイアを殴りにかかる。
ドン!!
「ぐわああ!!」
ゴーンの強烈な一撃に、ガイアは遥か後方まで吹き飛んだ。激しく土壁に激突しそのまま倒れ込む。口からは多くの流血。全身を襲う鈍い痛み。あばらの骨も数本折れたよう。
たった一撃でこの威力。ガイアはこれまでにない恐怖に襲われながら立ち上がった。
(恐るな!! 俺は攻撃のガイア。この身果てるまで攻撃あるのみ!!)
ガイアは体に付けていた全ての防具を脱ぎ捨てた。そして左手に残る自慢の爪も引っ込める。
「ゴオオオオオオォォォ!!!」
ガイアは天に向けて大きく咆哮する。
「行くぞ!
そう言うとガイアは一直線にゴーンに向けて突撃する。歩みをやめ、右手を上げ構えるゴーン。
ガイアが射程距離に入るとゴーンはその右手を素早く振り下ろした。ガイアは冷静にその攻撃を避け、腕の側面に立つ。
「ガアアアアアアア!!!!」
そしてゴーンの右腕に向け渾身の力を込めて殴った。
ドーーーーン!!!
ガイアの渾身の一撃に砕け、地面に落ちるゴーンの右手。そしてガイアは落ちたゴーンの右手を更に両手で殴り始める。
ドンドンドンドォォン!!!
やがてガイアの執拗な攻撃で粉々になるゴーンの右腕。
「オ、オマエ!!!」
右手を失ったゴーンが左手で攻撃する。
「ガアアアア!!!」
ガイアは素早く動き左腕も右腕同様に叩き落とし、そしてやはり粉々になるまで殴り続ける。
「これで決める!!!」
そう言うとガイアはゴーンの目の前まで行き大きく飛躍。ゴーンの顔の高さまで飛び上がると、これまた目いっぱいの力を込めて顔面を殴りつける。強撃を受けドンと音を立てて落ちるゴーンの首。ガイアは地面に降りると腕同様、粉々になるまで砕いた。
両手と頭を失ったゴーン。ふらふらと地中に戻ろうとする。
「させるか!!!」
ガイアは残った足や胴体も粉々になるまで砕いた。
「はあ、はあ、はあ……」
バタン!!
両手の皮はめくれ、大量に出血している。骨も恐らく砕けているのだろう。それでもガイアは楽しかった。里では決していない強敵。戦いの快楽。紳士と言う仮面を被った下にいる本当の自分。攻撃、攻撃、攻撃。
(俺はやっぱり、攻撃のガイアなんだな……)
ガイアは全身の痛みに耐えながら心の中ではその快楽に浸っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます