あこがれ
「もうそんな時期か」
「そうだね。でもさ、もう少し先の話」
月は、真南を向いている。
「どうしたの」
「そういえば、月の話。今日初めて聞いたんだ。なんか知ってる?」
「いいや。僕もまだよくわからないや」
月が僕の方へやってくる。顔を覗き込んでくる。
「それよりも気をつけて。月の上を歩くんだ、僕たち」
僕は月に笑いかけた。
月は、それから少し考えてから、頷く。
「わかった。じゃあ行こう」
「うん」
それから僕たちはこれから、色を追わなくてはならない。月が遠く、遠く、遠く、遠く行って、僕は月に教わった通りに行った。けれど、僕はすこし不安になっていた。何かに怯える気持ちが大き過ぎていた。
それでも、僕は月の背を追いかけた。
今でなければ、この先に、月の声が響くはずなどないのだろうとそう思ったから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます