第2話 終了した世界

 ところで、君はいくつなんだ?

 まだ子どもなんだろう。

 という事は、黄昏時の生まれか。

 …ああ。そう呼ばれている。

 この世界が、終わりを迎えた時からね。

 君は出会ったことがあるか?自分と同い年ぐらいの子どもに。

 …やはりないか。

 君のお母さんは?君を産んだ人の事だ。

 …そうか。君を産んだ後に。

 君がいた場所も、あの闇に飲まれたのか。

 ああ。あれが本当の終わりさ。

 夕日が見えるかい。

 この辺りは、もう何年もあの夕日を浴びている。

 終わりを迎えてから、この世界の時間は止まった。

 世界のはじまりの場所から、空が黄昏に染まりはじめ、やがて夜となり、最後は光の無い闇に包まれて、おわりに至っていく。

 なぁ、君は蒼い空を見たことはあるか?

 ああ、緋色ではない色の、とても明るい色をした空だ。

 良ければ、一緒に見に行かないか?

 行き方は簡単さ。

 あの夜とは、反対の方へと進めばいい。

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