ア―ゼンノアと100年ラヂオ
Aruji-no
あいさつ篇
第1話 100年ラヂオ
こんにちは。
…おや、どうしたのかな?
まずは挨拶からというのが、礼儀のはずだが。
それとも、相手がラヂオの場合では、その範疇ではないのかな?
…ああ。その通り、君と話しているのは、君の目の前にあるラヂオだ。
分かってもらった所で、改めて挨拶だな。
こんにちは。
わたしはラヂオだ。
名前はないんだ。
ラヂオというのは、いわゆる名称だからな。
君だって、自分を人間とは名乗らないだろう。
それで、君の名前は?
…そうか。よろしくな。
100年以上もの間、持ち主たちに音や情報を聞かせ続けてきたが、話をしたのはこれが初めてだ。
これは何というかな。
あたたかい。と言えばいいのかな。
いや、分からない。
どうやら、わたしは"心"と呼べるものを持ったようだが、これがわたし自身に芽生えた感覚なのか。
今まで発信してきた言葉や物語を、ただ引用しているだけなのか?
人間の君には、よく分からない事かもしれないな。
…え?
ルネ?
何だいその言葉は?
名前?
わたしの?
わたしに名前をくれるのかい?
…ルネ。
わたしは、ルネ。
…あたたかい。
…あたたかいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます