第6話

「ちょっと待ってよ。なんでシンジ、貞子と手を繋いでるわけ!?しかもそれ、、

恋人繋ぎじゃん...!」


ユーコは煩い。


「もう別れたんだから、俺が誰と手を繋ごうと俺の自由だろ...!」


「うっわー!なによなによ、

強がっちゃって!

シンジパパの会社は倒産してシンジパパは無職...!!

今、貧乏でどん底にいるはずなのに、そんなに語気を荒げた言い方が、できるなんて意外...!!」



ユーコがユーコなら、

バカップルだと思った。藤島くんも、マジでウザい。


「シンジくんさー、もしよかったらなんだけど、シンジくんパパ、俺の親父の会社で働く?」


「こ、の、次期社長の俺様が、親父に口利きしてやってもいいけど??」


俺は顔を上げた。

そして、藤島くんの顔をチラッと見た。

一瞬、こいつ、いいやつなのかと思った自分が甘かったとすぐに気付かされることとなるが。


「え、いいの、、、??」


淡い。僅かな期待。そんな希望を

少しでも胸に抱いた俺が愚かだった。


「あーでもさ、きっと、シンジくんパパは無能だよね?無能だから、経営してた会社潰しちゃったんだよね?

ざーんねん!うちの親父はさ、一流大卒の、有能な奴しか使わないわけよ!!どうせ、あれでしょ、シンジくんパパは高卒?か、もしかして中卒?なんだろ?どっち??」


高卒だった。

そのことは、黙ってた。


「いやー、ごめんごめん、気を持たせちゃってさ!」


「なかったことにしてよ、今の俺の話!」




とことん、嫌なカップルだった。


「....っっ!」


口惜しくて悔しくて。

俺は唇を噛み締めて、拳を握り締めた。

殴ったら終わりだ。

どんなに怒りが湧き上がろうが、手を出した方が負けなんだ。こういうときは。

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