第4話

大変失礼ながら、

「貞子」の本名を俺は知らない。


でも、貞子は俺の名前、しかもフルネームを知っていた。


「おはよ、山吹シンジくん!

私ね、噂で聞いたの...!林ユーコさんと

別れたんだって??」


「ああ...」


俺は裸で抱き合う藤島とユーコの浮気現場を

鮮明に思い出してしまい、気持ち悪くなったが、顔には出さず、平静さを装い静かに返答した。


「じゃあ、今はフリーなんだよね...!?」


「うん...」


「じゃ、遠慮なく胸、押し付けちゃお...!」



驚いた。地味子なのに。


えらい、積極的にくるなと俺は感じた。


ふにゃんと彼女の左胸の膨らみを感じ、

俺は思わず、顔を赤くしてしまったらしい。


多分だけど。


ユーコより、胸はでかい...。


「ねぇ、手を繋いでくれてるけどさ、

恋人繋ぎしてくれない??」


「え...」


「嫌??」


重ため前髪のせいで。


あと、眼鏡のせいもあるが、

どんな表情しているのかいまいち分からないが。


多分、上目遣いでいるんだろうなと俺は思い、

更にどきまぎした。


「あ、えーと...」



もう手も繋いじまってるし、

ユーコと別れた寂しさを埋める...のに、

貞子の存在は有り難かった。


手を繋ぎ直したら、

貞子がやたらキャッキャした。


「これでもう、私達、カップルだね...!!」












iPhoneから送信

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る