第5話

翌日。

目が覚めて最初に思ったことは、紬に会いたい。

別に、妹が好きって訳じゃないけど......いやでも、ちょっとは好きって思ってるかもしれない。

ま、まあ、そのことは置いといて、昨日すげー久しぶりに紬と会ったから、今日も会えるかもと思い、さっそくベッドから降りた。


まずは、紬の為の朝ごはん。

引きこもりと言っているが、家から出ないという事ではなく、自分の部屋から出ない引き込もりなので、簡単に言えばキッチンなどには行けないのである。

俺としては別に出てもいいと思うが、本人が行きたくないのなら仕方ない。

なので毎日のようにご飯を作り、部屋のドアの前に置くことが日常。

「さてと......」

俺はいつものように、パンを一枚トーストで焼き、目玉焼きやベーコンと言った、いかにも朝食らしいものを作っていく。

「よしっと出来た」

十分ほどで朝ごはんができ、まだ温かいうちに紬の部屋へと運んでいく。

「今日も会えるといいな......」

俺はそう思いつつ、朝食セット的なものを紬の部屋の前に置いた。


今日は特に予定とかはなく、ただ外を歩こうと思ったので、近くにある商店街的な所に足を運んだ。

ここには何回か行ったことがある。

その中には、たった一度だけ紬と行ったこともある。

今思えばすごく懐かしく思えてくる。

商店街という名前の通り、ここには色々なものが売っている。

例えば漫画や小説、おもちゃ売り場やちょっとした食べる所だってある。

俺がここに来た理由としては......なんとなく。

最初にも言ったが、ただ外を歩こうとしていただけなので、とりあえず何かないかなと思って来ただけ。

それにしても意外と色々売ってるんだな。

前に来た時よりも、売っているものが増えている。

これぐらいのものがあれば、なにかひとつくらいは紬が喜びそうなものも売っていると思うのだが......。

気がついたら、紬に何か買っていこうとしている所だった。

ま、まあ、別にいいけどさ......紬が喜べば。

「紬にどんなのを買っていったら喜ぶかな......」

正直な所、紬が好きなものとしては、昨日の時点でチョコケーキが好きと言う事が分かった。

でも、それ以外に好きなものは俺には分からない。

例えばぬいぐるみとかお菓子とか......うーん、よく分かんない。

まあでも、昨日チョコケーキを買っていったときにちょっと分かったことは、俺からのプレゼントなら何でも喜ぶのでは?と。

いや、そんなことないかな......難しい。

せっかくここに来たので、せめて何か買っていってあげようと思い、俺はぬいぐるみ屋さんにあった、ぬいぐるみとしてはやや大きいようなサイズのウサギを買う事にして、さっさと帰ることにした。


「ただいま......って、あれ?」

家の玄関に手をかけたとき、お風呂場の窓の方から湯気が立ち込めているのが見えた。

恐らく、紬が風呂に入っているという事だろう。

引きこもりなため、家に俺がいると基本的には部屋からは出ない。

だから、俺がどこかに行ってる時に、トイレや風呂なんかにいっているのだろう。

「うーん、このまま待ってた方がいいか......?」

家の中にいるとまずいのではと考え、俺は紬が風呂から出るまで少しの間外で待つことにとした。











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