第31話 やっぱり色々違ってる
フライス村に到着した俺たち一行は、今日のところはのんびりと過ごし、明日から暗き暗き森の探索に出ることにした。
時間は午後の4時くらいだが、5月の空はまだ明るい。
とりあえず、部屋割りをして夕食の準備をすることにした。
代官屋敷はフライス村が所属するノースフォレスト地区5ヶ村の代官マッシュ=バーデン男爵がフライス村に滞在する際の屋敷だ。
屋敷と言っても造りは簡素なものだ。代官が収穫後の事務手続きなどでフライス村を訪れた時に事務作業をする代官執務室と、待合室兼村の寄り合い所の広間、それに付随して
フライス村には宿を専業にしている者はいないため、滅多にない宿泊客があった時は代官屋敷に泊まれるようになっているのだ。
そして代官屋敷に風呂はない。
トイレはおまる方式ではなく、屋敷の外にある。
何と、水洗便所だ。要は川の上に張り出した小屋の中で、穴を空けた床の穴にする。直接川にボットンだ。下流の人のことを考えると申し訳ない気がする。 当然シットスティックは自作しなければならない。わざわざ作らんでも柔らかそうな葉っぱでいいか。
とりあえず俺たちは6部屋あった客間のうち、それぞれが1室使うという贅沢をすることにした。
俺の部屋の両脇がハンスとダイク。夜間侵入する者などいないと思うが念のため俺に何かあったらすぐに駆け付けられるように両脇に陣取られた。
ハンスの横がドノバン先生で、その横がピアだ。
食事は広間でみんなで摂る。
それぞれ部屋に私物を運び込んだ後、食事の準備だ。
台所に皆集まって中を確認する。
食材はマッシュ=バーデン男爵とその従者が1週間分置いて行ってくれた小麦粉と野菜類と、ソーセージがある。
ソーセージはクリン村で加工されたものだ。一応豚の腸に多めの塩を混ぜた挽肉を詰め、燻製にしてある。冷暗所に置いておけばけっこう持つ、とマッシュ=バーデン男爵は言っていたが、どうだろうか。
調味料は塩、胡椒くらいだ。まあそんなもんだろう。
調理に必要な調理器具は包丁や大きさの違うな寸胴のような鍋が幾つかと、フライパンのような平たい鉄鍋や大きな掻き混ぜ用のしゃもじみたいなものやお玉みたいなものなど、一応揃っているようだ。
食器も木製の深さの違う皿が何種類かある。
これなら何とかなるだろう。
夕食の役割分担を決めよう。
「ピア、とりあえずこの材料で何か作るもの考えて指示しておくれ。何を手伝ったらいい?」
「デキマセン」
「それってどんな料理だい? 必要なものがあれば作業するから言ってよ」
「デスカラデキマセン」
「料理名が長くなったね。何か行程が加わるのかい?」
「……殿下、わざとですか?」
「何が? それにピア、私のことは殿下じゃなくてジョアン坊ちゃんと呼んでくれないと」
「……ジョアン坊ちゃん、私の申し上げることをお聞きくださいませ」
「どうしたんだい、ピア。改まって」
「私はジョアン坊ちゃんの身の回りの世話をするメイドです。衣類の整理や着衣脱衣の手伝い、室内の整頓、寝具の用意やお茶の用意片付けなどが主な仕事です」
「そんなこと知ってるよピア。いつもピアが手際よく何でもやってくれるから私がダメ人間一歩手前にいるんじゃないか」
「つまり私の仕事に料理は含まれていないのです」
「そうかー、だったら特別に給金上乗せしないといけないね。来週バーデン男爵が来たらラウラ母さん宛にピアに特別手当を出すように手紙を書いて、王宮に届けてもらうように預けておくよ。それでいい?」
「特別手当は魅力的なのですが……私は料理をしたことがないのです」
ピアは少し恥ずかしそうに言う。
「え? 日々の食事とか自分で作ってないの?」
「私は王宮内の使用人部屋に住んでおりましたから、食事は全て厨房の料理人見習いが作った
おおおーい、マジかマジなのか!
いや、でも確かにそうか。
そう言えばハールディーズ公爵の屋敷に滞在して地獄のシゴキをされていた時も、ピアは料理してなかったもんな。
身の回りの世話が上手いからといって、料理もできると思い込んでいたのは俺の先入観ってもんだ。
「ピアは料理はしたことがないのか、済まなかった。てっきり出来るもんだと思い込んでいたよ。包丁は扱えるんだね?」
「はい。お茶菓子の果物の皮を剥いたりしますから」
「なら、調理の際の材料の皮剥きとか刻みはお願いできるね。ハンス、ダイク、料理はしたことある? 騎士団の野営とかで作りそうだけど」
「すみません殿か……坊ちゃん。炊事なんかは騎士見習いがやるんで、私のようにいきなり騎士は野営でも料理をしたことがありません」
「私は肉に塩を掛けて焼くことが出来ます」
ダイクよ、そりゃ俺も出来るぞ。
やばい、調理が出来る人間がまさかいないとは。完全にピアが出来ると思い込んでいたからな。
仕方がない、俺の独身時代の料理スキルを発揮して、とにかく大量に材料を煮込んでうま味をだした煮込み料理を作るしかないか?
俺は1週間3食同じものでも飽きない男だ。大量の作り置き、それは俺のためにある。
独身時代、金が微妙な給料日前一週間をカレーを大量に作り毎食カレーで乗り切ったのはいい思い出だ。
おかげで結婚後もカレーだけは何故か俺が作る取り決めになってしまった。
妻にネタで喋るんじゃなかった。
「ジョアン坊ちゃん、私は少々料理をしたことがありますので、私が考えましょうか」
「ドノバン先生!」
殺伐とした俺の心に颯爽と救世主が!
「まあ私も独り身でやむを得ず自分を養うためにしていることですので、王宮料理人のエルマー殿と同じ味を期待されても困ってしまうのですが、それでも皆さんよりは経験していると思います」
「ありがとうございます、ドノバン先生! もう私は毎日同じメニューで全くもって大丈夫ですからお願いします!」
「では、早速取り掛かりましょうか。あまり遅い時間になると明かりのための油代も掛かってしまいますからね。
ハンスさんとダイクさん、水を汲んできて下さい。この厨房の水がめの水、以前使用したままになっていますので、悪くなっていますから。
ピアさん、とりあえず人参と玉ねぎの皮を剥いて下さい。他の野菜はハンスさんとダイクさんが水を持ってきて下さったら洗って切りましょう。
私は古い水がめの水を捨ててきます。
殿下は……いや坊ちゃんはそうですね、一応ハンスさんたちと一緒に水汲みに着いて行って下さい。何か発見があるかも知れませんしね」
ドノバン先生の指示で俺たちは動き出した。
とりあえず桶を持って外に出る。
「そういえば水場はどこって聞いてなかったな。どこだ?」
そう言えば迂闊にも程があるが聞いていなかった。
「私が村長のところに行って聞いてきましょう」
ダイクがそう言って村長宅まで走っていく。
速い。
流石ワーウルフ。
100m程離れた村長宅まで数秒だ。
村長宅の扉をダイクがノックする。
村長の奥方らしき女性が出てきて何事か話している。
少し話してダイクが礼をした。
そして走って戻って来る。
やはり数秒。
「フライス村ではこの小川の水を料理や飲用に使っているそうです」
小川というのは、水洗便所がかかっているこの川のことだ。
一応代官屋敷より下流には民家らしきものはないので、我々の排泄物が人の口に入ることはないだろうが。
「まさかとは思うけど、この上流の村人たちは、この川に排泄物を流してる、なんてことはないよね?」
俺は恐る恐る聞く。
「……もう一度聞いてきます」
ダイクはまた走り村長宅へ行き、奥方らしき人と話し、戻って来る。
「この川へ排泄物を流したりはしていないそうです。それをやった者は袋叩き、文字通り袋を被せて棒や石で叩くそうです」
「それ死ぬ奴じゃん」
「私刑にかけられても仕方ない重罪ってことですよ。殿……坊ちゃん。なら、さっさと水を汲んで戻りましょう」
とハンスが言って、桶で水を汲む。
「村長の奥方によると、明日の天気が思わしくなさそうなので、明日使う分の水も汲んでおいた方がいいそうですよ」
そう言いながらダイクも桶に水を汲んで代官屋敷に戻る。
俺も手伝うか。
そう思って桶に水を汲もうとするが、これがなかなか重い。両手で桶を持ち上げて何とか必死で運ぶ。
ぬうん、気合いだ!
……気合いだけじゃ無理だ。
水をこぼす前に一旦地面に置く。
そうこうしているうちにハンスが戻って来る。
「殿下、私が持ちましょうか」
「いや、私くらいの子供でも水汲みをやってる子はいくらでもいるよ。これくらいはやらないとね。
それとハンス、ジョアン坊ちゃんだよ」
「失礼しました殿……ジョアン坊ちゃん」
「うん、じゃあハンスはハンスで自分のやるべきことをやってよ。私も頑張るから」
俺はそう言ってもう一度水の入った桶を持ち上げて運び出した。
ようやく台所まで水を持ってきて、大きな水瓶に水を移し終わると、俺はぐったりしてしまった。
これは結構重労働で、乗馬や剣とはまったく違う筋肉を使う。
「殿下、お疲れ様です。休んでいただいても結構ですよ」
「いや、まだ夕食準備は終わってないだろうから手伝いますよ。それとドノバン先生、殿下じゃなくジョアン坊ちゃんですよ」
「ああ、これは失敬しました。じゃあジョアン坊ちゃん、パン生地を捏ねてみますか」
「よし、やって見ようかな」
水と塩を混ぜた小麦粉をひたすら捏ねて粘りを出す。
うおおおお、これもまた力がいるぞおおおお。
今日はもう遅いが前世で見た男性アイドルグループが村づくりや農業に真剣に取り組むバラエティ番組で自然酵母でパンを作るのをやっていた。いつかあれを試してみたい。
今日のところは、この硬いパンで我慢するか。
いや待て。俺はミソを持ってきている。
フフフ、ドノバン先生。あなたがズボラな男飯を作っていることを期待していますよ。
「ドノバン先生、野菜類はどのように調理をされてるんですか」
「殿下……じゃなかった坊ちゃん、とりあえず多くの野菜を切って煮込んで塩を入れて味を付ければ、野菜の味が混じりあって美味しくなるのですよ。スープとしては十分です」
「ドノバン先生、もう味付けはされたのですか」
「まだ煮込み出してそれほど時間は経っていないので、まだこれからです」
「ドノバン先生、私は実はミソを持ってきています。ミソを使った料理をご提案します」
「殿下……じゃなかった坊ちゃん、ミソは確か食べ物に塗って食べる調味料ではなかったのですか?」
「フッ、フフフハァーッハハ! ドノバン先生! ミソは! この世の! 全ての調味料以上の! 万能調味料なのです! 私とジャルランが王宮庭園でやっている、キュウリなどに付けて食べるだけの単純な物とは思わないで頂きたいものですなァッ! ハーッハッハ!」
「殿下、どうされたのですか……知らぬ土地の緊張に耐え兼ね……ハッ、もしや未知の魔物による何らかの攻撃!」
「ドノバン先生、殿下は単に自分の思い付きに酔っておられるだけですよ。時々こういうことがあるのです、私たちに対しては。 殿下のいい子ちゃん仮面が偶に剥がれることがあるだけです」
くそう、ピアめ。付き合いが長いだけのことはある。
「すみませんドノバン先生。少し気分が高揚しすぎてしまいました。ミソを取ってくるので少々お待ちください」
俺は運んできてもらった自室の荷物の中から茶色い大きめな壺を取り出した。
この中にミソが入っている。
ハラスに頼んで取り寄せた物を味噌種にして、大豆を潰した物と塩と混ぜて新たに作った物だ。
言わばアレイエム産ミソの第一号だ。
まだ1年弱の熟成期間だが、多分行けるだろう。
当然、庭師頭のエック達に手伝ってもらい、作業用具小屋で熟成させたものだ。
ミソの入った壺を持って台所に戻る。
「ドノバン先生、ミソは塩のように煮物の味付けにも使えるのですよ」
「そうなのですか。確かにえもいえぬコクのある調味料ではありますが」
「これをこの煮物の味付けに使ってみましょう。それと、このパン生地、パンにせず他の食べ方にしたいと思いますがよろしいですか」
「……殿下の思い付きなら試してみる価値はありそうですね」
「先生、私は殿下ではありませんよ、坊ちゃんです。ピア、さっき殿下って言ってたの聞こえてたからね。ちゃんと坊ちゃんで頼むよ」
さてさて、このパン生地を麺棒で薄く伸ばしてだな、伸ばして、伸ばして。
小麦粉をそこに振って全体に打ち粉する。
畳んで、どうする太くていいか。甲斐の国風だ。
畳んだ小麦粉生地を幅1.5cm程に切っていく。
本当だったらカボチャやキノコも入れたいところだ。でも贅沢は言えない。
切った小麦粉生地をスープを煮込んでいる鍋に入れる。
野菜類はずいぶん煮込んでいるから一応野菜の旨味は出ているだろう。
そしてミソを入れる。
さらに煮込む。
うーん、懐かしき香りだ。
中に入れた小麦粉生地に火が通り、外側が艶やかになってきている。
そろそろいいだろう。
ダイクに鍋を火から外してもらい、最後に少し味を見ながら追いミソして味を調える。
出来上がりだ。
器に盛りつける。本当は大き目の木の椀か陶器の丼がいいのだが、無いので仕方なく深皿に1人分づつ盛り付ける。
箸を使いたいが、無い。外で木の枝を取ってきて使ってもいいが、もう暗くなるので止めておこう。
広間に運び、皆でテーブルに着席したところで料理の説明をする。
「これは東洋の料理でウドンというものです。5月といえ夜は冷えます。この料理は食べると体が温まりますよ。本当は2本の木の枝みたいなハシというものを使った方が食べ易いんですが、今日の所はフォークで掬って食べて下さい。では神へ祈り頂きましょう。ドノバン先生が祈りを捧げていただいてよろしいですか」
ドノバン先生は今でも一応オーエ教改革派に属している、牧師でもある。
「では、僭越ながら私が祈りを捧げさせていただきます。
我らを見守って下さる大いなる神よ。今日も私たちに生きる糧をお与え下さり感謝いたします。
神の恵みを」
「「神の恵みを」」
そしてウドンを皆しずしずと口に運ぶ。
「面白い食感ですね坊ちゃん」
ハンスが感想を口にする。しかし表情は普通だ。
俺も食べてみるが、うーん、何かイマイチ物足りない。
ダシがしっかり取れていないのは元々具が野菜だけなので仕方ないが、何か香りが今一つだ。
ミソがまだ若いからか?
また口に運ぶ。
やっぱり前世の味噌煮込みウドンの感じがしない。
……食べ方を変えてみよう。
「ごめん皆。このウドンは東洋の食べ物だから、この食べ物に合った食べ方があるんだ。アデリナお祖母ちゃんがここにいたらお行儀が悪いって叱られるけど、いないからやってみてもいいかい?」
「どうぞ、殿下やってみて下さい」
ドノバン先生が許可してくれた。
ズッ、ズズー!
勢いよくウドンを
これだ!
そうそう、
これこれ、これだよ。
俺は8年ぶりのウドンをひたすら
とりあえず自分の分を食べ終わって、他の皆を見ると、ドン引きされている。
「殿……坊ちゃん、お行儀が悪いなんてもんじゃない食べ方でしたが……」
ハンスが恐る恐るといった様子で口を開く。
「ああ、済まないね。ちょっと食べ方を工夫しないと味わえないんだよ、このウドンは。
私みたいに
「殿下がそうおっしゃるなら……」
皆、半信半疑でウドンを多めに口に入れ、鼻から息を吐きつつ
「確かにこの食べ方の方がミソの得も言われぬ香りも楽しめ、深みのある味が感じられますね」
結構こういう新しいことに抵抗が無いピアが感想を口にする。
「なら良かった。まだお替りはあるから、気に入った人はどんどん食べてね」
俺はそう言って、自分の分のお替りを取りに厨房に行こうと立ち上がった。
ああ、突然ウドンを作ろうなんて自己満足だったな。
結構な量の野菜類を使った煮物を、俺が勝手に味噌味にしてウドンも入れてしまった。
俺の好みの急な押し付けだし、だいたいマナーにうるさい王族や貴族階級がしていい食べ方じゃない。
この世界に、俺も合わせないといけなかった。
その辺りまで気遣えないと、集団で生活するんだから。
俺がギクシャクさせてしまってどうするんだ。
はあ。
その時。
ダイクが物凄い勢いでウドンを
「殿下、神は日々の糧を我らに与えて下さっていますが、食べ方をどうこうしろとは言われてません。
旨い食べ物に合った食べ方をしたって、神は怒るほど心が狭くないと私は思います。
満足するまで好きなだけ食べていいですか?」
ダイクは真顔でそう言う。
「いいとも、ダイク。それと、私は坊ちゃんね」
「はい、坊ちゃん。よう、ハンス、おまえはお上品におちょぼ口で食ってな。お前が上品に食ってくれると俺はそれだけウドンが食えるから有難いぜ」
そう言うとダイクはウドンをよそいに行く。
それを聞いたハンスは、やはりウドンを一気に
「おいおいダイク~? お前何
あんまり欲張って食うとあなたの大きな大きなお口の横からウドンがはみ出しちゃいませんかぁ~?」
「アホか! そんな勿体ない事するかボケが」
「ヘイヘイ、頑張ってくださいな~? 俺はお上品におちょぼ口で
ハンスは煽りの天才か。
「お二人とも、その辺りで。殿下が面食らっていますよ」
ドノバン先生が二人をなだめようとする。
「ドノバン先生、聖職者は大変ですね~、上手い物も満足に味わえないなんて。いや~大変だ」
ハンスがドノバン先生も煽る。
「……確かにダイクさんが言ったように、神は食べ方を否定しておりません。神がウドンを前にしたならば、最高に美味しくいただくための食べ方をなさるでしょう。ええ、そうですとも」
そう言うとドノバン先生も一気にウドンを
「皆さん、あまり食べ過ぎないようにしてくださいね! 野菜は半分以上使ってしまったのですから! 明日以降の分も残しておかないと!」
そう言ってドノバン先生もお替りを取りに行く。
ピアは、というと、ちゃっかりいつの間にかお替りをよそってまた食べだしている。
ピアのこうゆうところは相変わらずだ。
気が付けば俺が一番最後にお替りをよそいに行くことになった。
……みんなが喜んでくれて良かった。
俺の思い付きで、ネーレピアの常識から外れた食べ方に付き合ってくれる。
口火を切ってくれたダイク。
ダイクは無骨な外見だけど他人の気持ちを汲むのが上手いんだろう。ぶっきらぼうな言い方だったけど、俺のことを気遣って、ああやって口火を切ってくれた。
ハンスもそんなダイクの考えをすぐに察知する機智がある。
俺はまだまだだ。
ネーレピアの常識を完全に考慮に入れてなかった。
得意気に作ったのに、たいして美味くもなかったら、食材だって限りがあるのに、皆に本当に申し訳ないことになる。
食べ物を無駄にし、神の教えに背くことになってしまうところだった。
ありがとう、みんな。
みんなには本当の意味でのウドンを味わってもらいたい。
ああ、暗き暗き森よ。
更に美味しいウドンを皆に味わってもらいたいんだ。
キノコを我らに、是非。
俺には暗き暗き森の探索の理由がもう一つできた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます