第10話 対寒兵器、投入 

 



 結局、湯たんぽは14個出来ていた。


 俺が11個、ドノバン先生が2個、ジャルランとドノバン先生の合作1個だ。


 これをどう分配するか悩んだ。

 まず俺の家族に確実に1個づつ欲しい。

 俺、ジャルラン、アデリナお祖母ちゃん、ダニエルパパ、イザベル母さん、ラウラ母さんの6個。

 残り8個、ドノバン先生、エックとその部下3名、ピア、カーヤの7個。


 1個余る。


 どうしたらいいか聞くと、皆殿下がお決めになればよい、と口をそろえて言う。


 「殿下がお造りになったのですから、殿下がお決めになるのが道理です」


 とドノバン先生は言う。


 ジャルランは


 「ぼくが作ったのは僕がもらうね」


 と心ここにあらずだ。早くも使いたいらしい。

 そりゃそうだよな、暖炉を焚いていても足元寒いんだから。


 結局、アデリナお祖母ちゃんに2個あげることにした。



 その日の夕食時、家族みんなに湯たんぽを配り、使い方を教えた。

 俺とジャルランの分は既に自室で使っていたので持ってきていない。


 「ここから熱湯を入れて、コルクで栓をします。熱いのでタオルで巻いて、布団の中の足元などに入れておくと足元が温くなります。布団の中だけでなく机に向かっている時でも足元に置いておけば温かくなりますよ」


 みんな早速侍女に湯を持ってきてもらい試していた。

 案の定というか殊の外喜んでくれたのはアデリナお祖母ちゃんだった。


 「ありがとう、ジョアン、ジャルラン。あたしみたいに年を取ると、本当に手足が冷えてねえ。おまえ達にはまだ想像もつかないと思うけど、自分の体から熱がどんどん逃げていくのがわかるんだよ。年寄りに寒さは本当に敵だよ。勝てない敵さ。でもこれでゆっくり寝れるよ」


 これで家族全員がゆっくり安眠できるといいな。


 さて、ここはもう一つ、最終的なアレのために押しておくか。


 「父上、この湯たんぽが気に入って下さったら、他の貴族の方々にも勧めてあげてください。その際は陶器ですので我が家の贔屓の陶工に制作を依頼してはどうかと」


 「そうだな、ジョアン、私自らが試してみて、良かったら諸侯や我が家の政務を取る宮中伯にも勧めてみることにしよう」


 「それで父上、私が考えている暖房器具はこれだけではございません。更にあと2つございます。一つは現在見本の品を製作中です。1週間程度でお目にかけることができるかと思います。そちらを見て、もし父上が良いと判断されるのであれば、その見本の品も立派な製品にしていただきたいのが一つ、それとあと一つの暖房については少々規模が大きくなるかと存じます。とても私一人では作り上げる事ができない物です。ですから制作するにあたり、父上のお力添えを是非いただきたく存じます」


 「うーむ、湯たんぽだけでも十分に手足の寒さ対策になると思うが……

 とりあえず現在制作している見本の品、というものを見てから判断するとしよう」


 「はは、有難く存じます」


 別に5歳の子供が父と話すんだから、こんな固い言葉使いで言わなくても良いんだろうけど、ついつい最後の目的のアレのことを考えると固い口調になっちゃうんだよなあ。



 次の日の朝。


 湯たんぽのおかげでゆっくり眠れた。

 朝には湯たんぽのお湯はぬるくなっていたけど、眠る際の足の末端の寒さは殆ど感じなかったぞ。


 大成功だ。


 俺の朝の支度をしに来たピアも、いつも以上の笑顔だ。


 「殿下、良い物を下さりありがとうございます」


 「ピアにはいつも世話になっているからね。喜んでもらえて良かったよ」


 心なしかピアの血色がいい。

 いい縁談が来るといいなお嬢さん。



 朝食に集まった家族の顔を見ると、湯たんぽの効果は抜群だったようだ。

 ダニエルパパもイザベル母さんもラウラ母さんもアデリナお祖母ちゃんも、皆顔色が良い。


 「父上、昨夜はいかがでしたか?」


 「おお、ジョアン、思った以上に良く眠れたぞ。これは今日の執務中も使うことにしようと思う。良い物を考えたな」


 「喜んでいただけて何よりです。では皆様に勧めていただき、将来的には民でも買えるようにしていただければ、民も多少冬を凌ぎ易くなるかと存じます」


 国民の凍死を減らして人口を増やすことが国力増加に繋がるはずだ。


 少しづつでも何かできることをしておきたい。


 それと同時にこの王宮での快適生活も実現せねば。


 これなら第2弾を上手くプレゼンすれば最終目的のアレも何とかなりそうな気がする。

 とりあえず、この寒さを撃退するのだ。


 おっと、その前にイザベル母さんの機嫌がいいうちに頼みごとをしておこう。


 「イザベル母さん、実はお願いがあるんですが……よろしいでしょうか」


 「何です? ジョアンが私に頼み事なんて珍しいわねぇ。言ってみなさぁい」


 湯たんぽのこうかはばつぐんだ。


 「実はドノバン先生に教えていただいたのですが、遠い遠い東の島国に変わった調味料があるそうなんです。豆から作られた茶色い土のような形状をしており、食べ物に塗って良し、和えてよし、煮てよし、焼いてよしの万能調味料だとか。そのようなものを私も食べてみたいと思いました。

 イザベル母さんのご実家は、確かはるか東方の島国とも交易しているとお聞きしましたので、出来たら私のために一樽手に入れていただきたいなあと思いまして。お願いできませんか?」


 「お兄ちゃんばっかりずるい! 僕も僕も食べてみたーい」


 ジャルラン、お前も食い意地が張っているな。

 よしよし、手に入ったら共に庭園に成っているキュウリに付けて食べようぞ。


 「ジャルランまで……まあ東方の物産に憧れを抱く気持ちはわかるわぁ。

 ジョアン、東方の島国、ニーパンと私の実家ハラスは確かに取引しているわぁ。ですがニーパンは遥か遠い国。その調味料を頼んだとして届くのは1年以上先になるわよ。それでもいいの?」


 「はい、イザベル母さん! その調味料は元々大豆を保存食にする目的で作られた物なので、1年どころか3年は持ちます。ですから何卒お願いいたします」


 「わかったわぁ。珍しくジョアンが私に頼みごとをするんですから。何とか叶えて差し上げましょう」


 「ありがとうございます、イザベル母さん!」


 いやー、これはマジで嬉しいぞ。

 味噌が手に入るのは元日本人として嬉しすぎる。

 この頃の味噌なら、手に入れれば味噌種として使えるはずだ。

 味噌の量産化も視野に入るぞ!

 ゆくゆくは醤油も……


 ぐふふ、夢がひろがりんぐ……


 俺は果てしなく広がる豊かな食生活を想像し、よだれが止まらなかった。


 「ジョアン、よだれが垂れているよ! 食事の時はしっかり食事に集中しな!」


 当然のようにアデリナお祖母ちゃんに怒られた。



 俺はエックたちのところに勉強の合間に毎日出掛け、工作の進捗を確認した。

 エック達庭師は仕事柄手先も器用だ。

 思った以上にいい出来になった。


 「いやーエック達、凄いなあ。家具職人としてもやっていけるんじゃないか?」


 「ヘヘッ、王宮をクビになったら考えて見まさあ」


 エックが上機嫌で言う。


 「エック達をクビになんかできるわけないよ。誰が庭園を管理するんだい? 美味しいものが食べられなくなってしまうよ」


 さて、完成したガワを王宮内に運び込む前に、あれを作らなければ。

 エック達の作った台の真ん中の一番中の窪み。

 30㎝四方の正方形に空いた穴にぴったりハマる陶器の受け皿。


 土魔法で陶器の受け皿を作る。


 俺は30㎝四方、深さは20㎝の陶器の受け皿をイメージした。



 陶器の受け皿が地面の上に出現した。

 陶器の受け皿を台の窪みに嵌めるとちょうどピッタリ嵌った。 


 これで準備はOKだ。


 エック達に頼んで、王宮内まで運びこんでもらう。



 王族のプライベートスペースである内廷まではエック達は入れないので、仕方なく内廷入り口前の小広間まで運んでもらった。

 内廷の警備についている衛兵が怪訝な顔をしている。


 しまった、この先を考えてなかったぞ。


 パパ上、イザベル母さんは執務中の筈だ。

 ラウラ母さんは厨房で今日の家族の夕食の打ち合わせか。

 ここはアデリナお祖母ちゃんに協力を依頼するか。


 メイドのピアにアデリナお祖母ちゃんの部屋まで先触れしてもらい、アデリナお祖母ちゃんの部屋を訪ねる。

 アデリナお祖母ちゃん付きの侍女のレオナに面会の希望を伝え、お祖母ちゃんの許可を貰い入室する。


 アデリナお祖母ちゃんは暖炉の前で安楽椅子に座りながら編み物をしていた。


 足元には当然、湯たんぽだ。


 「どうしたんだい、ジョアン。珍しいね。何かまたおねだりかい?」


 アデリナお祖母ちゃんの部屋に来るのも久々だ。


 ついつい中を見渡してしまう。


 品のいい小物入れの棚。丸テーブルの周りに椅子が3脚。落ち着いた雰囲気だ。

 一番目に入る場所に飾られてるのは、椅子に座って赤ん坊を抱くお祖母ちゃんの後ろにお爺ちゃんが立ってお祖母ちゃんの肩に手を添えている肖像画だ。

 この肖像画のお爺ちゃんは外朝の通路に飾ってある肖像画より、柔らかい表情をしている。

 お祖母ちゃんも赤ん坊を抱いて、とても柔らかい笑顔を浮かべている。


 在りし日の幸せな一場面だ。


 「その絵はダニエルの兄が産まれた後に書いてもらったんだよ。その絵に描かれてるのはダニエルの兄のディランさ」


 俺が肖像画に見とれているのを見て、アデリナお祖母ちゃんが言う。


 「ダニエル父上に兄がおられたたんですね」


 「ああ、出来のいい兄だったよ。今は臣籍降下してエイクロイドとの国境で公爵やってるよ」


 「どうして兄を差し置いて弟の父上が王家を継いだのですか?」


 アデリナお祖母ちゃんはふうっと溜息をついて言った。


 「幼い頃からディランは出来が良くてね、親離れもすぐだった。手のかからない子だったよ。でも子供の頃に親にたっぷり甘えてなかったせいかね、大きくなってから親じゃない色んな人に甘えるようになっちまったんだよ。まあ色々あってね。それでダニエルが継ぐことになったんだ」


 臣籍降下して公爵、ってことはとんでもない不祥事じゃなく、ある程度握りつぶせる、でもそのまま王家を継がすわけにはいかない、そんな不祥事ってことだ。道ならぬ恋、とかだろうな。


 「ディランのことがあったから、孫のお前たちにはそんな思いさせたくなくてね。それで必ず食事は家族が揃って取る、そういう決まりを作ったのさ。多少でも父親、母親と話す機会を作れればと思ってね。

 どうだい、ジョアン? お前はしっかり甘えることが出来てるかい?」


 「ええ、お祖母ちゃん。おかげで色々父上、母上に甘えさせてもらってます。当然お祖母ちゃんにも」


 「なら良かったよ。今のうちに一杯甘えておきな。それで今日はわざわざそんな世間話をしに来たのかい?」


 そうそう、アレを何とかしないと。そのためにお祖母ちゃんの力を借りに来たんだ。


 「お祖母ちゃん、少し前の食事の時に僕が話してた試作品の暖房器具、出来たんだけどちょっとまだ内廷に入れてなくてさ。お祖母ちゃんに見てもらってどうしたらいいか相談したくて来たんだ」


 「おや、そうなのかい。私を頼ってくれるのは嬉しいねえ。早速見せてもらおうか」


 お祖母ちゃんを連れて内廷前の小広間へ移動する。


 「ジョアン、これは一体どう使うものなんだい?」


 確かにこれだけだとわかんないよな。

 場所がちょっとアレだけど、一度ここで作ってしまうか。


 「お祖母ちゃん、一度ここで使って見せるよ。ただ、私一人だと使えるようにできないんだ。ここに掛布団を持ってきて欲しいのだけど、ピアとレオナに持ってきてもらっていい?」


 「ああ、いいよ。レオナ、ピアと一緒に掛布団をここまで持ってきておくれ」


 「畏まりました大奥様。今お持ちします」


 レオナはピアを従えて掛布団を取りに行く。


 「じゃあ私はちょっと厨房まで行って必要な物を貰ってきます。お祖母ちゃん、ちょっと待ってて」


 俺はそう言って陶器の受け皿を持って厨房に向かった。



 厨房を警備する衛兵に、ラウラ母さんか料理人のエルマーを呼んで欲しい、と言伝してもらうと、ラウラ母さんが厨房から出てきた。


 「どうしたの? ジョアン。珍しくこんな時間に」 


 「少し前の食事の時に僕が話してた試作品の暖房器具が出来たんだけど、暖房の熱源になる炭と灰を分けてほしいと思って来ました」


 「あら、そうなの。どれくらいあればいいの? あんまり沢山だと困るけど」


 「この受け皿の半分くらいで十分です」


 「これくらいならいいわ。ちょっと待っててね」


 ラウラ母さんは受け皿を持って厨房の中に入っていくと、炭と灰を受け皿に入れて戻ってきた。


 「ジョアン、私もジョアンの考えた暖房器具に興味があるわ。一緒に行くから見せてちょうだい」


 ラウラ母さんも一緒に見に来ることになった。



 内廷前の小広間に戻ると、レオナとピアが既に掛布団を持ってきてくれた後だった。

 更にはジャルランとカーヤも増えていた。

 レオナたちが掛布団を運ぶのを目ざとく見つけたのだろう、付いてきたのだ。


 「お兄ちゃん、これ、こないだエック達に頼んで作って貰ってたやつでしょ? お披露目に僕を呼ばないなんてひどいよー」


 またまたジャルランが口を尖らせて拗ねる。 ああ、愛い愛い。


 「ジョアン、早速見せてもらおうかね」


 アデリナお祖母ちゃんに言われて俺は準備を始めた。


 受け皿を台の中央の窪みにセットし、火魔法で炭に着火する。

 風魔法で適度な風を送り、炭全体に火が回るようにする。

 炭が炎を出さず静かに燃え始めたのを確認して、その上に金網を被せる。

 更に台の窪みの上部に4脚のついたテーブルの骨組みを載せる。

 その上に掛布団を被せ、掛け布団の上に板を置いてしっかり抑える。


 「よし、準備できたぞ。お祖母ちゃん、ラウラ母さん、ジャルラン、この台に乗って、テーブルの下の布団をめくって足を入れて腰かけて見て」


 「わー、何か初めてで面白そー」


 ジャルランはすぐに台に飛び乗り足を突っ込んだ。


 「うわー、お兄ちゃんこれ、お尻から下が全部ポカポカ温かいよー、凄ーい!

 何ていう暖房器具なの?」


 「コタツって言うんだ」


 「へーっ、初めて聞いたよ。お兄ちゃん流石物知りだねー」


 無邪気に感動するジャルランと違い、アデリナお祖母ちゃんとラウラ母さんはジャルラン程無邪気に台に昇れない。


 あちゃー、そうだ、この形だと淑女の皆様が上手く台の上に上がって当たれないわ。まだ工夫が必要だな。


 俺たちの様子を見ていた衛兵たちが、どこからか踏み台を持ってきてくれたので、アデリナお祖母ちゃんとラウラ母さんも無事しずしずと台の上に上り、コタツに当たることができた。


 「こうやって当たって下半身を中心に温めるものだけど、しばらく当たってると全身がポカポカしてくると思う。床に座った時に使える背もたれ何かもあればもっといいと思うけど、今日はここまでしかできなかったんだ。どう、みんな、感想は」


 「こりゃあいいねえ」


 「本当に上半身も暖かくなるのね。不思議だわ」


 「お行儀悪いって叱られると思うけど、横になりたいなー」


 好評だ。


 良き、良き。


 「それで、お祖母ちゃん、これを父上とイザベル母さんにも見せたいんだけど、本当は家族みんなで食事を摂っている広間まで持って行きたかったんだ。どうしたらいいと思う? 知恵を貸してよ」


 「そうだねえ、もう火を入れてるんだから、ここで見てもらっていいんじゃないかと思うね。私がダニエルとイザベルに伝えておくよ。執務後は二人とも必ずここを通るわけだしね」


 アデリナお祖母ちゃんがそう言ってくれたのでお任せすることにした。


 ラウラ母さんは少し名残惜しそうだったが、厨房の様子を見るために厨房に戻った。



 夕方になり5時を過ぎた頃、イザベル母さんが内廷に戻ってきた。


 イザベル母さんは初めて見るコタツと、そこにあたり何とも言えないとろけた顔をしているジャルランとアデリナお祖母ちゃんを見て驚いている。

 事前にアデリナお祖母ちゃんの言葉をレオナから伝えられていたのだろうが、何があるのかは知らずにイザベル母さんはこの場所に来たのだろう。


 「な、何なんですのぉ、これは……」


 「あ、お母さん、一緒に入ろうよ、これ、すごく温かいんだよー」


 とジャルランが驚くイザベル母さんに声をかける。


 アデリナお祖母ちゃんも


 「イザベル、執務室にいて足が冷えただろう、さあ、ここにお入り」


 と、実にいい顔で手招きする。


 「ジョアン、これは……一体二人はどうなってしまったというのです……」


 二人の様子にただ事ではない何かを感じたイザベル母さんは、近くでコタツに入らず様子を見守っていた俺に聞いてきた。


 「イザベル母さん、安心してください。これは私が以前食事の時にお話ししていた新しい暖房器具の試作品ですよ」


 『何だか二人とも顔を赤くしてうっとりした顔になっているので、何か如何わしいことにでもなっているのかと……』


 イザベル母さんが小声で、口元を扇で隠しながら聞いてくる。


 う~ん、確かにそう言われればそう見えないこともないかも。


 『安心してください、祖母と孫ですよ。そんなはずないじゃありませんか。第一、二人とも向い合せで、足先が触れる程度です』


 と小声で返事を返す。


 『まあ、そうなのでしょうけどぉ……絶対に危なかったり、変なことになったりは無いのでしょうね』


 初めて見るものだとやはり警戒してしまうようだ。


 『大丈夫ですよ、中に炭火が入っていますが直接足に当たらないように金網もかけてありますし。金網の上にずっと足を置いたりしない限り大丈夫です』


 「わかりました。では私も試してみます。」


 俺の答えを聞いたイザベル母さんは半信半疑ではあるものの、おずおずと踏み台を上って台の上に上がりコタツに両足を差し込んだ。


 「まあ、まあ、まあ、何と言ったら良いのでしょう、こんな、こんな幸せが足元に、あっても良いものなのでしょうか……神様、ありがとうございます。 ああ、冷えた手先も中に入れて温めることが出来るのねぇ……こんな、こんなにっ、これは……アデリナ様、誘っていただきありがとうございますっ」


 何か聞いててこっちが恥ずかしくなる程イザベル母さんは感動していた。


 「ねー、イザベル母さん、これ、凄いでしょー」


 ジャルランが無邪気に自慢する。


 そしてイザベル母さんもアデリナお祖母ちゃん、ジャルランと同じように3人でコタツにあたり恍惚の表情を浮かべていると、ダニエルパパ上も内廷前に戻ってきた。


 ダニエルパパ上もイザベル母さん、アデリナお祖母ちゃん、ジャルランの様子を見て、イザベル母さんとまったく同じような反応をしたが、まったく同じようにコタツに吸い込まれ、そして居ついた。


 みんななかなかコタツから出ようとせずにダラダラしていたため、夕食に呼びに来たラウラ母さんに呆れられていた。


 パパ上、内廷前の小広間のコタツで夕食を食べたがるのは、王としての威厳的にどうなの?


 とは言えとりあえず、パパ上含む家族にコタツの良さを伝えるのは大成功だったようだ。



 よし、これで最後のアレも行けるだろう。




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