戯曲最終修正稿

序章 虚構ノ城

-舞台明転

 場所は収容所の一室。ハックルベリーの虚構意識の中。ネズミの少女が出てくる。


ネズミ  「ハック!ほら起きて」

ハック  「…うん?ああ、君か。…あれ?もしかしてもう時間かい?」

ネズミ  「そうよ。何のんきに寝ちゃってるの」

ハック  「危ない危ない。またしくじるところだった」


-コウモリの少女が窓から入ってくる


コウモリ  「そうだよ。もうちょっと気を付けなきゃ~」

ハック  「お!君も来たか。時間通りだ」

コウモリ 「当然」

ネズミ  「ちょっと!何得意気になってんのよ」

コウモリ 「何よ?文句でもあるっていうの~?」

ネズミ  「大有りよ。この前のこと忘れたの?」

コウモリ 「何よそれ!あたしのせいだったっていうの~?」

ネズミ  「そうじゃないの!あんたがもたもたしてたからハックが捕まっちゃった

     んじゃない」

コウモリ 「違うわよ~。あんたがいちいち大声出すから見つかっちゃったんじゃの

     よ~」

ネズミ  「何ですって~!」

コウモリ 「何よ~」

ハック  「まあまあ。もう過ぎたことだろ。それに、あれは俺が不甲斐なかっただ

     けだ。気にすんなって」

ネズミ  「で、でも。それでハックがひどい目に…」

ハック  「そんなの大丈夫だって。そんなことより、早くこんなところから出よう

     ぜ。そう約束したろ」


――バジルとペッパーが入ってくる


ネズ&コウ『キャァ~!』

ハック  「やっべ。二人共逃げろ!」

ネズミ  「でも、そしたらハックが…」

ハック  「俺なら大丈夫だ!」

コウモリ 「ええ~!で、でも~」

ハック  「俺を信じろって。必ずまた会えるから」

ネズミ  「…わかった。約束。絶対守ってよね!」


――逃げるネズミとコウモリの少女。

  取り押さえられ注射を打たれ倒れるハックルベリー。

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