第3話 お人好し 復讐を誓う

 なんやかんやでウォールハイル王国に到着。

 はー、着いた着いた。

 ナスターシャの誘惑にもよく耐えたよ、俺は。グッジョブ、俺!


 王女は無傷。

 長旅にもよく耐えてくれて俺も助かった。

 賞金もらってオサラバじゃい!

 故郷に帰ってカワイイ幼馴染みとイチャラブなスローライフを送るんじゃい!


 ところがだ。

 城に到着し、俺とナスターシャが謁見の間に通されてすぐの事だった。


「おっ……お父様ああっはあん!」


「おおっ! ナスターシャよっ! よくぞ無事で戻ってきてくれたっ!」


 ウォールハイル王と第二王女ナスターシャの感動の再会!

 娘をしっかと抱き締めるウォールハイル王!

 いい場面じゃないか。

 父と娘の再会の場面に立ち会えるなんて、人生の中でそうそうあるものじゃない。


 なんて思ってた所にナスターシャの爆弾発言!


「私はあの人でなしにっ! ムリヤリみさおを奪われてしまいましたのですうっ! よよよっうううっ」


「なななあっ!? 何をっ!?」


 おいナスターシャっ!

 突然ナニを言い出すんじゃいっ!

 よよよなんて嘘泣きもイイとこだろっ!

 そんなの誰だって見抜けるわいっ!


「私はあの性欲魔人にっ!

 毎晩のように○○○を○○されてっ!

 おぞましい○○○を私の口に押し込まれっ! 

 無理矢理○○して○○を振り!

 何度も何度も○○○○したあげく!

 私の下着を荒々しく剥ぎ取って○○○○を朝まで○○○○して○○○○されたのですうううっ!

 しくしくよよようっ」


 おいっナスターシャっ!

 ありもしなかったコトをよくそこまで羅列出来るなっ!

 被害妄想もイイとこだろっ!

 そんなおかしな知識はドコで手に入れたのか俺が聞きたいわいっ!

 俺はっ!


 童貞なんだからなっ!


 故郷で俺を待つカワイイ幼なじみがいるんだからなっ!

 賞金持ち帰って毎晩ムフフのアハンをするんだからなっ!

 剣師とか剣聖なんて肩書きはどうでもよくて、大金持ちになってカワイイ幼馴染みとスローライフを送りたいだけなんだからなっ!


 国王は額に手を当てて何か考え込んでいらっしゃいますがっ。


 おいっ王様よっ!

 考えるまでもないでしょーがっ!

 時間が止まってるみたいに動かないんですけどっ? 

 眼光鋭くめっちゃガン見されててコワイんですけどー!



〖 ウォールハイル国王の思考 〗


 この男、王女に手を出すようなアホには見えんな。

 ふむ。どうやらナスターシャはこやつに惚れておるようだな……相手にされなかったものだから腹いせにそんな嘘を……まだまだ幼いな、ナスターシャよ。

 第二王女だし、どっかの小国の貴族にでも嫁いでくれたらよかったのだが……そうかそうか。

 好きな男が出来たのか、ナスターシャよ。


 相手は魔法剣師……そのクラスの者ならばオマエを十分に守ってくれるだろう。

 第二王女だし、恋愛の一つや二つは経験させてやろう。

 それはそれで良し。


 この男の処分……魔法剣師の称号まで剥奪してしまうと白状な王だと思われてしまうな……

 ここは慈悲深い所をアピールしておかねば。

 ナスターシャを救ってくれたのは事実だし、ファレリアの婚約も決まっとるからな。

 うん。そうしよう。

 ハイ、決定。


           ◇


「魔法剣師ラルフよ。まず、父として娘を救ってくれた事、深く感謝する」


 だが、と声音を変えるウォールハイル王!


「二週間もの間、愛しき我が王女を連れ回した事を悔い改めよ。当然、報奨金は無し。斬首刑と国外追放、どちらか選ぶがよい」


 斬首刑っ!?

 そんなバカなっ!?

 選択肢なんてあって無いようなもんじゃないかっ!

 

 だがここで取り乱してはいけないっ。


 俺は努めてクールに冷静に応えた。


「では、国外追放で」


 王女助けたのに報奨金無しで国外追放って、どんだけブラックなんじゃいっ!


 にゃろうめっ! 復讐してやっからなっ!

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