第4話
最近、親父との関係が昔よりどこか柔らかくなった気がする。
もしかして今なら小遣いせびればイケるんじゃね?
「言っただろう、うちにはもう余裕は無いんだ」
何だよクソが
この期に及んでまだ隠してんのか?
身体に聞こうかと思ったが、親父の体は見るからにボロボロで、下手に触ったらそこから崩れてしまいそうだった。
テーブルにはいつの間にか処方箋が散乱し、独特な線香のような匂いがする。
ち、仕方ない。
本当に殺してしまって年金が受け取れなくなるのも困る。
諦めてドスドスと不満を鳴らしながら階段を上がる。
自室に入る前に、ちら、と隣の部屋を見る。
廊下は物音一つせず しん、と静まり返っていた。
格子窓からは光が漏れ、キラキラと埃が舞い散っている。
なんだかいないはずのモノがいるようで気味が悪くなり、急いで自室に入ってパソコンを起動し、イヤホンで耳を塞いだ。
ルナ王:どうにかなんねぇすかね…?
俺はネトゲのギルメンに相談という名の愚痴を漏らす。
ツバメ:なんで?家の中で財布拾えば良いじゃん
ヒュー♪流石相方(用語でゲーム内で結婚した仲間の事)、開口一番かましてくれるねそこに痺れる憧れるゥ!
蔵人:いやw普通に窃盗罪だから ww
トンヌラ:若いね〜、育児放棄だっつって腹パンすれば一発よ?
蔵人:ちょw傷害罪wwwwwww
流石俺のギルメン達、どいつもこいつもイカれてやがる。
ルナ神:こないだ軍隊式暗殺八極拳お見舞いしたら親父死にかけたでゴザル…(´ω`)
ツバメ:全力でイケ
蔵人:マジで傷害罪www
トンヌラ:通報した( ^ω^ )タイーホ
ハハ、面白。
やっぱり俺の仲間はコイツラだけだ。
コドおじ:家の物メルカリで売れば良いじゃん
ツバメ:天才キター♪O(≧∇≦)O
蔵人:だから窃盗罪だってwww
トンヌラ:正論ヤメロ
今度こそ目から鱗だった。
確かに家には親父が接待用に買ったゴルフクラブや、見栄っ張りなお袋が買ったブランド品に
健康器具等が裏の物置に仕舞いっぱなしになっている。
殆ど使用してないし、無駄に几帳面だから箱等も取っておいてあるはず。
ルナ王:オマイラ感謝汁٩( 'ω' )و
俺は火が噴き出す程の素早さでマウスを光速クリックし、メルカリに自己登録を済ませた。
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