まさかのライバル出現!?2
「えっ!?課長!?」
驚いて肩を揺すって声を掛けると、
「うう~ん……」
と言うだけだった。
テーブルに置かれているワインボトルを見ると空になっていて、グラスにも残っていない。私はまだ最初に注いで貰った一杯を飲み切っていないから、私がグルグル考えている内に残りを全部課長が飲んでしまったのだろう。
「酔って寝ちゃっただけか……」
普段はこんな量では酔わない課長。
(日頃の疲れとペットロスの疲弊で酔いが回ってしまったのかな?)
ふぅ、と息を吐いて、寝てしまった課長の顔を眺める。
「整った綺麗な顔……」
無防備に晒されているほっぺをツンツンと突いた。
やっぱり「うう~ん」と言うだけで、起きる気配がない。このまま寝かせてあげたいけど、ずっとこのままじゃ私が辛い。
「課長?起きて下さい。寝るなら部屋に戻ってベッドで寝ましょう?」
肩をポンポンと叩くと、ボソッと何かを呟いた気がして口元に耳を近付ける。
「ん~……ルイ…こっちに、おいで……」
どうやらルイちゃんの夢を見ている様で、ルイちゃんの名前を呼んでいた。
「ホント、ルイちゃんの事大好きだなぁ」
「う~ん……ムニャ…」
その後も、続けて何かを言っているので耳を近付けて聞いてみる。
「え――?」
私はパッと顔を離し、寝ている課長の顔を凝視した。
「今……『メグミ』って言った……?」
聞き間違い?
いいや、聞き間違いなんかじゃない。
確かに課長は寝言で『メグミ』と迫田課長の名前を呼んだ。
「え?なに?もしかして課長って、迫田課長の事……」
それ以上は口にしたくなくて、口を噤む。
「え……え?」
課長は迫田課長の事が……好き……?
「え、じゃあ今までのって……」
膝枕とか手を繋ぐとか妙に近い距離感とか、ただ単にルイちゃんの延長線上の甘えであって、特になんの意味も持たない物だったって事?それを私が勘違いをして一人で舞い上がってただけ?
(でもだって……)
課長の今までの振る舞いを誰かに話したら、誰だって私と同じ勘違いをしてしまうだろう。それ位、最近の課長の行動は私を「もしかしたら」と期待させるには十分だった。
しかし、夢にまで見る迫田課長。これを好意以外のなんと呼ぶ?
私を混乱させている張本人は、未だにスヤスヤと寝息を立てて膝枕で寝ている。
「そんな……」
その寝顔をボーッと見ながら呟いた。
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