会議室での秘め事(でもみんなの公認)2
応接室の前。
でも、お茶なんてもちろん持って来ていない。
多分、部長さんが来るのは本当だろうけど、時間が違う気がする。
コンコンコン――。
ノックをすると、「どうぞ」と中から聞こえる。
「失礼します」
そう言って中に入ると、やっぱり取引き先の部長さんはいなかった。
いつも思うけど、良からぬ事をしているみたいでドキドキする。
応接室には2~3人掛け用ソファー1つと、1人掛け用ソファーが2つ置いてある。
課長は当たり前の様に2~3人掛け用ソファーに腰を下ろし、ポンポンっと膝を叩いてニコニコしている。
(会社でこんな事していて良いんだろうか……?)
私は課長の隣に腰を下ろし、毎度お馴染み膝枕をされる。
課長がポケットからクシを取り出し、私の髪を梳かし始めた。
「取引き先の部長さんって〇×商事の部長さんですか?何時に来られるんですか?」
一応聞いとかないと、もしもこんな場面を見られでもしたら大変な事になる。
「ん?んーっと、あと1時間後位かな」
「そうですか。でも私も業務があるので10分位が限度ですよ」
そうクギを指すと、「分かってるよ」と頬を膨らませてブーたれる。
鼻歌交じりのご機嫌な課長を見て、私も少し目をつぶった。今日は朝から忙しかったから、この時間はちょっとありがたい。
多分、10分もそうしていなかったと思う。急に課長の携帯が鳴って私も目を開けた。
課長が電話に出て、「はい、はい、分かりました。お待ちしています」と言って電話を切った。
「どうしたんですか?」
「〇×商事の部長、今から来るって」
「えっ!?」
私はガバッ!と起き上がる。
課長が名残惜しそうな顔をしてるけど、そんなの気にしている場合ではない。
「こんな事している場合じゃないじゃないですか!早く戻りますよ!」
「えぇ~~~」
「えぇ~じゃないです!ホラ!シャキッとして!」
クシを取り上げ、無理やりポケットにしまう。
うん。顔色も戻ったかな。
「私、先に行きますよ!?続きは帰ってからしますから!」
「分かった……」
渋々納得させ、応接室を後にする。
この時、余りにもバタバタしていたせいで気が付かなかった。
物陰に隠れて、誰かがこちらを見ている事に。
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