第2生

街中は騒がしい。ゆっくりと歩いているのは私くらいだ。ため息が漏れそうになった時、遠くから私を呼ぶ声がした。

『立花ー!』

同じ店で働いている美由だ。

『今日、行きたくなあい。』甘ったるい声で駄々をこねる。

『もう、早く行くよ。』そう催促し、まだ眠い目を擦りながら、歩き出す。仕事に行きたくないのは私もだ。


店に着き、ドレスに着替える。

『美由今日は帰ってもいいかな?』

いつもの口癖だ。

『いいから、ファスナーあげてあげるから後ろ向いて。』

不服そうに口を尖らせながら美由は後ろを向く。


4時間ほどで仕事を終え、また着替える。

『疲れたあ。』

ドレスを纏い、キラキラした様に見えても、見かけだけだ。

『立花さん、美由さん、送り来ましたよ。今日もお疲れ様です。』

ボーイがにこやかにそう言った。

車に乗ると、携帯が震えた


ー律ー

眠すぎる。


仕事中の律からだ。

『男?男でしょ。』

少しニヤついた表情で美由が覗く

『友達だよ。美由も知ってるでしょ、律。』

『律かぁ。かっこいいよね。でも好きじゃないなあ。なんだろう、同族嫌悪?わかんないけど。』美由はそう言うと私の肩に持たれかかり携帯を触る

同族嫌悪と言ってしまえば、納得いかないこともないなと考えてる間に家が見える

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