@mmm7000

第1生

目が覚めると、頭痛が走った。

天井を見上げると、自分の家ではない。

隣には、よく知った色白で綺麗な顔立ちをした黒髪の男が居る。

『おはよう。』

寝起きの男はそう言って私を抱きしめる


昨日は、焼酎をたくさん呑んで。

それからのことは断片的にしか思い出せない。

『律、仕事。』

私が言うと眠そうに律は起き上がった

律は、学生時代からの友人だ。頭は、さほど良くないが綺麗な顔立ちと今風の服装そして、人当たりの良さから男女共に好かれていた。でも、私は、律が好きではない。嫌いというわけではないが誰に対しても、分け隔てなく接する律が胡散臭く薄っぺらく感じるのだ。

律も私と同様、私のことを好きでも嫌いでもない。私がなんとも思ってないことを分かっているのだろう。私が好きであっても、変わらないだろうが。

律は気怠そうに煙草に火をつけ、私の顔を数秒眺めたあと唇を重ねる、癖のように

胸がズキズキと傷む、昨日律が噛み付けた後が紫色に変色している。

『俺たち10年後、独身だったら結婚しようよ。』

壁を見ながら律が言う。

『そうだね。それもいいね。』

思ってもない事を言ったわけではない。それもいいかと本当に思った。

『いい暮らしさせてあげるよ。』

自信気にそう言う。律の稼ぎを考えると確かに難しいことではない。

『いいね、それ。』

暗くなりかけた空を窓から眺めながら呟く。

『仕事、頑張ってね。私も、行かなきゃ、またね。』

それだけ言って律の家を出た。

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