第41話 発覚

翌日、愛子と井口君の関係がわからず、煮え切らない気持ちのまま学校に行き、教室に入った途端、青山さんが私を見つけ駆け寄ってきた。


青山さんはカバンを置く隙すら与えず、私の腕をつかんで女子トイレへ。


訳も分からないままでいると、小声で叫ぶように告げてきた。


「椎名美穂、井口康太に振られたんだって!!」


「はぁ!? マジ??」


「うん! バイトの面接落ちたって言ったじゃん? あの翌日告って振られたらしいよ! 彼氏が康太から聞いたって言ってた!」



『それで私が恨まれてる? なんで?』



疑問に思いながら考え、不思議そうな表情をする青山さんに事情を話すと、青山さんは納得したような表情を浮かべていた。


「一時期の康太、若菜にちょっかい出しまくってたじゃん? 今は渡辺愛子と同じバイト先だし、お弁当も渡してるって噂だし、そのせいかも?」


「…私関係なくない?」


「うーん… あれかな? あの… ほ、ほら! 同じ中学の奴は嫌い的な?」


歯切れの悪い感じで話す青山さんに違和感を覚えたけど、それ以上に関係のないところで勝手にキレられて、いきなり『恨むから』とまで言われたことが納得いかない。


「同じ中学って… 仕方ないじゃん…」


小さくつぶやくように言うと、予鈴の音が鳴り響き、青山さんと二人で教室に戻った。


自分の席に戻ろうとすると、井口君が当たり前のように私の席に座っている。


井口君は私の姿を見た後、「おす」とだけ言い、自分の教室に戻っていた。



授業が始まっても、頭の中はそっけない態度の井口君のことでいっぱい。


『美穂ちゃん、本当に井口君のことが好きだったんだ… どうやって告ったんだろ? どっかに呼び出して…』



そこまで考えたところで、過去の記憶がフラッシュバックされる。


苦い記憶を振り払うように、大きくため息をつき、授業を受け続けていた。



お昼休みになり、無言で愛子にお弁当を渡すと、愛子は無言でポーチを奪い取る。


結衣子ちゃんはそんな姿を見て、呆れたようにため息をついた。


「若菜ちゃん、このままでいいの?」


「よくないけどさぁ…」


「まぁ、嫌だって言って聞くような相手じゃないか…」


二人で同時にため息をつき、思わず目を合わせて笑い合ってしまった。



その日の放課後、帰宅すると玄関にはいつものようにポーチが置いてある。



『いい加減、お礼くらい言おうよ… つーか、いつまで続くんだろ…』



完全に呆れながらポーチを拾い上げていた。



翌日は、空のお弁当箱を持ってコンビニに寄り、学校へ着くと同時に、女子トイレへ。


トイレの中で、コンビニで買ってきたおにぎりをお弁当箱に詰めた。



『終わりが見えない… バイト代だって予想以上に減ってるし、いい加減にしてほしいなぁ… 言ったところで終わるわけないんだけど…』



ため息をついた後、お弁当箱をポーチにしまい、教室に向かっていた。

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