第40話 確認

翌日、お昼休みになると同時に、結衣子ちゃんは青山さんたちの元へ行ったんだけど、私は一人で屋上の手前に。


少しすると、愛子がお弁当を取りに来たんだけど、愛子は何も言わず、お弁当を受け取りさっさとその場を後にしていた。


愛子から少し距離を置き、物陰に隠れながら追いかけると、愛子は当たり前のように体育棟のほうへ。


物陰からこっそりのぞき込むと、愛子は井口君にお弁当を渡していた。



「今日は早起きできたからちゃんと作ってきたよ♪」


「…サンキュ」



愛子はどこから出しているのかわからない声で井口君にお弁当を渡し、井口君は不愛想な様子でお弁当を受け取る。


井口君はお弁当を受け取ったと思ったら、愛子の言葉なんか聞かず、まっすぐ男子更衣室に向かっていた。



『え? 更衣室で食べてるの? 一緒に食べてるんじゃないの?』



愛子は近くにあったベンチに腰掛け、井口君をひたすら待っているようだった。


しばらくすると、井口君は更衣室から出てきたと思ったら!


無言で愛子にお弁当箱を渡し、まっすぐこっちに向かってくる。



『ヤバ!!』



慌ててその場を後にし、教室に駆け込んでいた。



愛子が井口君にお弁当を渡していることは分かった。


けど、なんで一緒に食べてないの?


お弁当を貰って食べたにも関わらず、味の感想も何も言わないで返すっておかしくない?



放課後、不思議に思いながら家に帰り、机の上に置いてあったシュシュが視界に飛び込む。



『そういえば、お礼してなかったな…』



そんなことを思いながら、ボーっとシュシュを眺めていた。



翌朝、井口君へ愛子経由で渡されるお弁当用にハンバーグを作った。



『シュシュのお礼だから! シュシュのお礼だから!』



何度も頭の中で繰り返していたんだけど、井口君のことを思い出すたびに、胸の奥がギュッと締め付けられる。



お昼休みになると、当然のように愛子がお弁当を取りに来て、無言でポーチを渡す。


愛子はポーチを奪い取ると、急ぎ足でその場を後にしていた。



『あの二人、どういう関係なんだろ…』



素朴な疑問が浮かんだんだけど、誰かに聞くわけにもいかず…


悶々としたまま帰宅し、当たり前のように玄関前に置いてあるポーチを拾い上げた。


家の中に入ると、マルが鳴きながら足元に絡みついてくる。


「あ、ごめん、おやつの時間だね」


マルの頭を軽く撫でた後、急いでキッチンに向かい、井口君からもらったおやつをマルにあげていた。



『井口君、あの時もしかして、私のことを待ってたのかな? まさか、偶然だよね? でもだったらなんでシュシュ持ってたんだろ…』



考えれば考えるほどわからなくなり、胸の奥がキュッと締め付けられていた。

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