何十年も前の好きだった人を思い出す。
お互いに交際する相手がいたので、今世ではなく来世を約束した。
どこまで本気だったのか、ただ悲恋の雰囲気に酔いしれていただけなのかは、もう覚えていない。
法に縛られる男女関係が確定するまでは、出会いの数が可能性の数になる。
その中には、誰も悪くないのに、関係者全員が傷を負う。
そんな出来事は、実は珍しくはなかったりする。
本作の二人は、客観的に見て、道義的でない想いを育んでしまった。
二人は果たして、罪深いのだろうか?
きっと作中にあるように、「良いとか悪いとかじゃない。ただ素直なだけ」
という評が適切なのだと思う。
二人がお互いを、過去形じゃ無く、今に至るまで想い続けられた時点で、彼らの始まりは必然だった。
成就するまでかけた時間は、動き出した未来へ向かう。