第5話 友達からのプレゼント

あれからほぼ一年

休み時間の度に廊下で話をしたり

一緒に下校したり

それなりのカップルと変わりなく

仲を深めていった


私は由香ちゃんがあの時に言った通り

あの時

あの理玖と仲良くなるきっかけを

断らなくよかったって思った


秋までは・・・


12月23日

明日は、理玖とのデート

私なりに覚悟を決める


だけど

私が変に期待したり妄想しすぎているだけで

もしかしたら

キスなんて

簡単なことなのかもしれない

欧米では

ただの挨拶で

小さな子供だって上手に交わす

だけど

お互いが

呼吸をするのを躊躇うくらいに近づくなんて

想像しただけで

ドキドキは止まらない


この前、由香ちゃんは言った


「理玖くんって奥手だよね」


そうかな?

私はそうは思わなかった

だって

休み時間には、人目を気にしないで

いつも私と話すために

うちのクラスに来てくれるし

友達にからかわれても

手をつないで来たりして


「うらやましがるなよ~」


なんてふざけたりして

こっちが恥ずかしくなっちゃうことだってあるし・・・


24日は

”進みます”

宣言されているし


「やっと

その気になったんだね」


由香ちゃんは鞄からポーチを取り出し

その中から可愛い袋をくれた


「これ、あげるね」


私は、その袋を見る


???


コンドーム


私は赤面する

由香ちゃんは

そんな私を見て笑って


「大切なものよ」


そう言った

私はそれを凝視


「こんな事じゃないよ

たぶん」


たどたどしく言う私


「もしものお守りよ」


由香ちゃんは、大人びた表情を浮かべ


「・・・でも、もしもの時って

私が持ってなくちゃいけないの?

私が渡すの・・・おかしくない?

っていうか

恥ずかしいよ」


早口の私に、由香ちゃんはまた笑って


「そりゃ

そのつもりなら

理玖くんが準備くらいはしてるはずだけど

もしも

もしも

って時のために

女の子だって持ってた方がいいと思うよ

大切な事だから」


こんなものを

自然に持っていて

それを私に渡せる由香ちゃんは

キスどころか

既に、これを使ったことがあるのだろうか?

彼女は自分の事をあまり話したりしないから

たくさんは、聞いたことが無い

由香ちゃんがまた、大人に見えた


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