第4話 告る

2月14日


私は朝からドキドキしていた

休み時間の度に

廊下が気になった


お昼休みが終わり

5時間目

6時間目も終わり

ホームルーム


ホームルームの内容によって

それぞれのクラスが

終了する時間がばらばらで

今日は珍しく

うちのクラスは遅かった


昨日、話しかけてきた女子たちが

廊下の窓から覗いている


「ほかのクラス覗かんで

さっさと帰っれ~」


担任が彼女たちに言う

彼女たちは

担任を睨みながら

その場を離れた


最後の先生の話が

長く感じる

終わって

皆が廊下に出たら

私もその流れでササっと帰ろう


私はもう逃げ腰


それに気が付いた由香ちゃんは

小さな声で


「リンちゃん

逃げないでね」


見透かす様な目

やめてよ~


ホームルームが終わって

教室からみんなが勢いよく出ていく

私も流れに乗り

帰る

逃げているわけではない

約束したわけではないし

だから由香ちゃん

そんなに怖い目で見ないでよ・・・


靴を履き替えた時、声をかけられた


「佐久間!!」


呼び止められて

振り返ると同じクラスの真田だった


私は足を止め

彼の方を見る


「ちょっといいか?」


挨拶はしたことがあった

だけど

話したのは初めてだったかも

私は真田に連れられて

バスケ部の部室裏へ


「なに?」


するとそこには

理玖の姿が・・・


サッカー部の部室って

反対側だよね…


部活前なのか?ジャージ姿で立っていた


一緒についてきた由香ちゃんが

”はっ”

とした顔になって


「私、先に帰るね」


そう言って

その場を離れた


真田も


「じゃ

後は頑張れ!!」


そう言って

真田は、私と理玖を置いて

行ってしまった


私は、恥ずかしくて

下を向いてもじもじしていた

告白されることが分かっていたからだ

理玖は、胸に手を当てて

深呼吸


「佐久間さん

俺、佐久間さんが好きです

付き合ってください!!」


小さな箱を両手で私の前に差し出し

深々と頭を下げた


バレンタインの…チョコ?


可愛い


あまりに真っすぐで

少し笑った


理玖は顔を上げて

こちらを見る


由香ちゃんが言った通り


これは始まり

この始まりを切ってしまうのは

勿体ないと思えた


「私の何が良いの?」


そう聞くと

理玖は愛嬌一杯な笑顔で


「一目惚れ!!」


迷いなく言った


それは

何とも簡単で、適当な理由なのだが

私の胸には深く刺さった


私が理玖を好きになり始めた瞬間だった


私たちは

それから

部室の壁にもたれ掛って座り込み

彼にもらったチョコレートを一緒に食べた


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