漢字出現率

 このエッセイもそろそろ最後に近づいてきましたが、今回は僕が個人的に一番読みにくいと思う文章についてお伝えしようと思います。それは漢字が多すぎる文章です。


 どうも書く人は漢字を多く使いたがる傾向にあるようですよね。実は僕も以前はバッチリそうでした。漢字が多いと文章の字面がなんとなく格好いいように感じてたんです。カチっとしているというか、知的そうというか……。


 でも、実際は違います。漢字が多い文章は反対に子供っぽい印象を与えます。前述したとおり僕も以前はやたらと漢字を使ってました。でも、それをやめてから昔書いた文章を読んでみると、子供っぽい文章にしか見えないんですよ。


 子供が背伸びしているような感じというのでしょうか。無理して書いている印象があって、子供っぽい文章に見えてしまうんです。それに、普通は漢字なんて使わないところに漢字を使うと、関西弁でいうところの「イキってる」感じがします。しかも、イキってスベっているような。(漢字を多めに使って書いている方、いやな言い方をしてすみません……)


 子供っぽいやイキってるを抜きにしても、漢字が多い文章というのは普通に読みにくいです。適度にひらがなも入れておかないと、読み手にストレスをかけてしまいます。難読漢字を平気で使っている方もいらっしゃいますが、わざわざ読みにくい漢字を使う必要はないと思います。


 漢字が多い文章というのは、パッと見で圧迫感があり、読むの疲れそう……ってなります。つまり、文章の第一印象がよくないんですよね。人とのつき合いと同じように、文章の第一印象も重要です。第一印象があとまでずっと引きずったりしますからね。


 漢字がズラッと並んでいたら、物語の内容がどうかに関係なく、読む気になれないって方は結構多いです。僕もそっと立ち去るかもしれません。漢字をむやみに使うのは避けたほうがいいですね。


 では、漢字の使用頻度はどのくらいが適切なのでしょうか。読みやすい文章の漢字出現率は20〜30%だと言われています。それに合わせて漢字を調整してください。だからと言って文章自体を変える必要はなく、開く漢字を増やせばいいだけです(開くというのはひらがなにするという意味です)。


 たとえば自分の一人称の僕は、漢字で「僕」と表記する人もいれば、ひらがなで「ぼく」と表記する人もいます。友達なんかも「友達」や「友だち」と表記がわかれます。「面白い」と「おもしろい」。「先程」と「さきほど」。「美味しい」と「おいしい」。なども表記がわかれます。


 漢字出現率が高い場合は開く漢字を増やして、漢字の使用頻度を調整してください。


 ちなみに、漢字出現率を調べるとてもいいWEBアプリが公開されているので、僕はそれを使って漢字の使用状況をチェックしています。


 そのサイトにリンクフリーの文言がありませんので、URLの明記は避けておきます。なので、グーグルで『漢字使用率チェッカー』と検索してください。同名のサイトがトップページにヒットします。


 漢字出現率が高い場合にどの漢字を開くかは人それぞれです。でも、一応は軽く指標みたいなのがあります。最後にそれをお伝えしておきます。


――――――――――

(1)四の五の言わず開きましょうという漢字。

 以下の漢字は開くのが常識になりつつものです。たとえばビシネスシーンなんかで漢字のまま使うと、影でプププと笑われたりするかも。


 ・趣味は本を読むです。 / 趣味は本を読むことです。

 ・カクヨムとサイト。 / カクヨムというサイト。

 ・話し合ったで決定した。 / 話し合ったうえで決定した。

 ・彼に話を聞いた。 / 彼に話を聞いたところ。



(2)開くことが多いよね、という漢字。

 漢字出現率が高い場合に開くかどうかを検討してもいいかもという漢字です。


 ・雨が降る時は / 雨が降るときは

 ・雪の様な / 雪のような

 ・此処 / ここ

 ・貴方 / あなた

 ・位 / くらい

 ・予め / あらかじめ

 ・一つ / ひとつ

 ・二つ / ふたつ

 ・但し / ただし

 ・為 / ため

 ・等 / など

 ・全て / すべて

 ・色々 / いろいろ

 ・様々 / さまざま

 ・有り難う / ありがとう

 ・殆ど / ほとんど

 ・宜しく / よろしく

 ・出来る / できる

――――――――――


 開く候補に入る漢字はほかにもたくさんあります。でも、キリがないのでこの辺にしておきます。開くかどうかを検討する漢字は、グーグルで検索してみてください。検索キーワードは『開いたほうがいい漢字』などでいいと思います。開く漢字の候補を一覧にしたサイトがいくつかヒットします。


 どの漢字を開くかというのは、自分ルールを作るしかないです。明確に正しいというものがありませんからね。僕も自分ルールの『この漢字は開くよシート』を作っています。


 ちなみに、意識してプロの作家さんの書いた本を読んでいると、同じ漢字でも読み方で開くか開かないを決めているパターンもありました。たとえば「出」という漢字で、「でる」と読む場合は漢字、「だす」と読む場合はひらがな、などです。


 僕も読み方で開くか開かないかを決めている漢字があります。みなさんも自分ルールを作って漢字出現率が20〜30%になるよう調整してみてください。



 <続く>





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