第7.5話 ケンスケ

 賎しい欲望に負けてユキを襲ってしまってから数日。


 俺は嘔吐と下痢を繰り返し、酷い頭痛と高熱でぶっ倒れていた。


 母さんが病院に連れて行ってくれたけど、もちろん原因は不明。


 ストレスから来ているのだろうという診断を受けて、療養していた。


 原因は俺が一番知っている、とても言えたものじゃないけれど。


 このまま死んでしまえばいいのに。


 寝込みながら、ずっとそう思っていた。


 ユキにあんな酷いことをした穢らわしい自分には、もう生きている価値はない。


 一日中うなされている俺を見て、母さんが泣いていた。


 父さんもすごく悲しそうな顔をしていた。


 そんな二人に俺は、こんな子供でゴメンなと心の中で謝るしか出来なかった。


 ユキはあの後どうしているだろう。


 身体は大丈夫だろうか。


 ……俺を恨んでいるだろうか。


 ユキ……、どうせ死ぬならその前にユキに一目会いたいと思ってしまっている、

 どこまでも愚かな俺を赦してくれ……。

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