第7.5話 ユキノリ

 ケンスケに初めて抱かれてから数日。


 結局無理がたたったのか、体調を崩して学校も休んでいた。


 家政婦のヨシエさんが病院に行こうと言ってくれたけど、原因は明らかだったし、

 こんな身体見せられないしで大丈夫と言い張って自宅で療養を続けた。


 身体は万全ではなかったけれど、心は幸せに打ち震えていた。


 青い顔をしてニコニコ笑って寝ているから、

 ヨシエさんもさぞ恐ろしかったんではないかと思う。


 早く元気になってケンスケに逢いたい。


 僕も好きって、ケンスケに伝えたい。


 あの日、自分の気持ちを言えてなかったと気づいたのは、

 家に戻り高熱で倒れてからだった。


 メールや電話じゃなくて、直接伝えるんだ。


 早く治れ、早く治れ、そう祈って毎日を過ごした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る