第5話

「あ、ごめん...あんたの眼鏡、踏んづけて壊しちゃったみたい...」


俺は唖然としてた。

変装用眼鏡が天に召され、それで

顔を隠してきたのだが、あと、頼れるのは

頑張って伸ばした前髪だけか...


「ど、どーしよう...弁償した方がいいよね?

えっと、幾らだった?今日は無理でも、明日にはお金持ってくるから...」


「あ、いや、いいよ、お金は...」


「な、何言ってんの!?あんたん家が

確か貧乏で兄弟も多くて、バイトしなきゃ

家計が大変で新しい制服も買えないみたいな

噂、私、聞いたことあんのよ...!」


「現に今、よれよれのブレザー着てんじゃん!」


ぐい、と前のめりになって。


林ユーコは依然としてしゃがみ込んでる

俺のブレザーの襟ぐりを掴んでから。


「ほら!眼鏡だってなきゃ困るんでしょ!?

まさか、お洒落のための伊達眼鏡なわけないしっしょ!目悪いんでしょ??」


それから、林ユーコは余計なことをした。


俺の重ため前髪を。


ファサリとかきあげてみせたんだ。


「お、おい....」


「や、やめろ...俺の髪の毛及び、デコに触るな!」


こうして。


自分で言うのもなんだが。


切れ長の綺麗な目が。


林ユーコにモロに見られることとなった。


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