裏世界で
第26話 復讐
とあるホテルの一室にて。
5人の、裏の世界では一目置かれている存在が集っていた。
ある人間は飄々としていて。
ある人間は雰囲気が暗い男で。
ある人間は陽気そうな女性で。
ある人間はかなり年をとっている老人で。
ある人間は正体が不明だった。
最初に声を上げたのは、艷妙な女性、雷月瀬理世。コードネームはライトニング。ちなみに自作である。
「ふん。どうせなら、あんな招待の仕方を避けてほしかったのだがな。もうあれは脅迫と言っていいだろ」
次に声を上げたのは老人で、体は少し痩せこけているようだ。名を源五郎という。この集まりの中で一番古株だ。
「その意見には賛同する。あれでは失礼に当たるだろう」
アンドロイドらしきものからは、几帳面そうな若い男の声が聞こえた。名は不明。姿を見たものはいないとされている。シークレットと周りからは呼ばれている。
「あんたが言うのか?まさかロンドンでのことは、忘れたってわけじゃないだろ」
飄々とした男の名は、ガウス・エラノール。金髪のアメリカ系の顔をしている。
「ああ。もちろん忘れてないぞ、エラノール。私の脳はどんなことでも記憶できるのでね。無論、人間だが」
少し悔しそうに、機械から聞き取れた。
「それじゃー、今日の会議を始めよっか。司会進行は、私こと『ライト』が努めまーす。よろしくよろしく」
「さっさと始めろ。あまり時間を浪費したくないのでね」
「んもう。せっかちだなー『死神』さんは。でも、もし今日の会議を聞き逃したら、かなり後悔するからね」
「・・・分かった」
死神と呼ばれた男は、おとなしく聞き役に徹した。彼は雰囲気が暗く(この業界では珍しくない)不気味な雰囲気を帯びている。
「今日集まってもらったのは、他でもない。・・・アスクを出し抜いて、ずっと探してたピースを奪取できるからだよ!」
「・・・・・・」
皆が沈黙した。ガウスも源四郎も、死神もだ。機械側からは、相変わらず何も聞こえない。
「狂ってるな」
その沈黙を破ったのはガウスだった。
「狂ってる・・・狂ってだろ!あの組織に手を出すのは、つまり、さっさと破滅しろと言ってるようなものだろ!」
「んー。でもー。もう解散しちゃったし〜。一人ずつ潰せばいいんじゃない。それに今は、ターゲットがちょうど保護下から抜けてる頃だし。奪うにはもってこいじゃない」
「私は賛成する。あれにはかなりの可能性が秘めてあるからな」
「ありがとね。ともかく私が言いたいのは2つ」
そう言い、手をちょきのようにして、話を続けた.
「私の話に乗る人は、次の集まりに来て。賛成しない人は、邪魔しないで。OK?」
再び沈黙が舞い降りる。司会のライトは、満足げに面々を眺めていた。その笑みは、邪悪な復讐の色を帯びていた。
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