第25話 実家の意味

運転は栗原さんの元同僚の福嶺沙雪という人がしてくれた。用意されていたのは、大型の車で、5人位入れそうなスペースだった。かなり高かっただろう。一体どんな仕事なのだろうか。


「君があの、氷川ゆきね・・・。なるほど。言ってた通りだわ」


「なんです?」


「いや。ただ入り組んだ伏線を張っただけだから。気にしても無意味だよ」


運転手は謎が多そうな人だった。栗原さんの同僚か。


「今日の運転は任せて。かなりの近道を使うから、結構時間は短縮できると思うよ」


と、なんとも頼もしいことを言ってくれたので、多分大丈夫だろう。少ない着替えと、海用の水着を持ち、半年ぶりに家に帰るのだった。


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「起きて起きて。さっさと起きないと服脱がすよ」


「はっ。ここは一体・・・」


「ここは私の車の中で、あなた達は帰省しに帰ってきた。さっさと荷物運んでって、大して持ってないね。・・・まあともかく、望結さんの方はもうとっくに起きて、家に入ってったよ」


「はあ・・・ってもうあいついっちゃたんですか!?ちなみにどのくらい寝てたんですか、俺」


荷物をまとめ、、、本当に大して持ってきてないな。大丈夫なのか。


「ざっと、40分位かな。ゴメンねー。あんまりにも寝顔が幸せそうで・・・」


恥ずかしい。むちゃくちゃ恥ずかしい。俺は見られるんじゃなくて、見たかったのに。


「ともかく。さっさと行かなきゃ」


さり際に


「・・・久しぶりの実家、楽しんでね」


まさしくそれが本心のようだった。でも、あまりいい予感はしないんだけどな。


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帰ってきてそうそう、俺の胸に小柄な女性が飛び込んできた。澄野かと思ったが、案年ながら違った。


「ゆーちゃん。おかえり〜!」


「ぐはっっ。痛い痛いって。離れてくれ」


「もう、思春期なんだからっ。しょうがないなぁ、もっとハグしてあげるっ!」


「いいって。もう離れて。結構きついから」


「ダーメ。帰ってきたら、なんていうんだった?」


「・・・ただいま」


「おかえり、ゆき」


俺は、家に帰ってきた。懐かしの家と、家族の元に。

大げさかもしれないが、そう実感したのだった。










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